さり海馬

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Shadowrun, Sixth World の魔法システム

www.catalystgamelabs.com

 

…というわけで、ちょっと遅れましたが翻訳してみました。

 Shadowrun, Sixth World における魔法

by Jason Hardy, Shadowrun Line Developer

 Gen Conが――みんなが私にいつも思い出させてくれる通り――4週間先に迫っている。そこでは Shadowrun, Sixth World がいよいよリリースされる。それに備えるために、この先数週間を使ってこの本の、戦闘やマトリックスを含むの様々な面について話をしたいと思う。新しいユーザーにも古参のユーザーにも等しく、この深くて魅惑的なシャドウランの世界のことを伝えるという、昔から変わることのないチャレンジをしてみよう。まずは、魔法についてだ!

魔法のシステムを改めるのは、初っ端からの大きな難題の一つだ。私はシャドウランの魔法システム(ここでは特に呪文に絞って話すけど)が本当に気に入っているからね。現状のシステムはやるべき事を見事にこなしていると思うし、そのおかげで魔法使いは大きなこともできるし、小さなこともできるし、その代償がどれほどになるかを考えることもできる。取締役会にバカでかい《火球》を投げ込みたい? できるよ。ただその後、気絶した自分を運び出してもらうための荷車か何かが必要だろうけどね。

そんなわけで、システムがうまく機能しているなら、何を変える必要があるだろうか? SR6の最初の歯車が回り始めた時から、最初に私が考えていたのはそれだった。私はずっと、毎度湧き上がってくる魔法についての一つの要求について、考え続けてきた。それは呪文を、プレイヤーやゲームマスターが自作できるようにする、というものだった。ゲームのバランスを維持したままそれをするというのは難しいかも知れない(RPGのルールに完璧なバランスなんてものは無いのだけれど、それについてはまた別の機会に話すとしよう)。でも、最初からそれを見込んでシステムをデザインすることができるなら、便利なものになるだろう。

 そんなわけで、SR6 の呪文行使はそんな感じになる。呪文はゼロから(徐々に)デザインしていくもので、最終的には魔法使いが自分の呪文を設計できるようにしていく。このシステムでは呪文はモジュール化して扱うので、一つ一つの呪文は、モジュールを組み合わせたものになる。例えば《火球》は、戦闘呪文+対象は生命体+火+範囲効果+遠隔、になる。

 さて、ここからはちょっと焦らす感じになる。というのも、SR6では最初から呪文をデザインすることはできないからだ。それをするためには、すべてのモジュールとその組み合わせの説明をコア・ルールブックに載せなきゃならないんだけど、そのためのスペースが無いんだ。そんなわけで、コア・ルールブックで使えるものは何かと言うと、こんな感じになる:

  • フォースは呪文行使前に宣言しない。すべてがモジュール化されているので、フォースの値が必要になるもの――具体的には、効果範囲を広げるとか、呪文のダメージを上げるとか――は、別のモジュールとして組み込まれている。それに加えて、SR6ではリミット自体が全体的に削除されているので、魔法ルール上の扱いも違ってくるのも妥当だろう。私は初心者のプレイヤーたちがフォースの扱いに困るシーンを何度も見てきた。だからこういう風に変更すれば、少々扱いやすくなるだろう。そうしたければ呪文の威力を上げることもできるが、あらかじめチャージしておいて、扱いに困らないように基本的な呪文を行使することだってできる。
  • 元素属性効果はもっと頻繁に登場するようになる。このモジュール・システムは広い範囲の元素属性効果を扱うことができるし、それはさまざまな状況下で利用できる。その例としては、《冷却治癒》や《温熱治癒、《元素装甲》なんかがある*1
  • ドレインは統一感のあるものにするべきだ。すべてのドレインは同じモジュールからの計算で求められるため、さまざまな呪文において統一感のあるものになるはずだ。

もちろん呪文行使は魔法の一分野に過ぎない。アデプトパワー、錬金術、召霊術、原質、儀式呪文行使、そしてアストラルでの移動や戦闘なんかもそこに含まれる。こうした分野において、これまでに Shadowrun, Sixth World の開発者プレビュー記事で話して来た、拡張されたエッジ・システムを活用した大幅な変更が行われることになっている。魔法のさまざまな要素を、このエッジのパラダイムに合うように調整したり、弄ったりする必要がある。これは修正値の計算を減らし、ロールプレイング・ゲームのクールな部分をもっと楽しめるようにするものでなければならない。

精霊は呪文とは違い、フォースを持ったままになる。個々の霊体の能力を一律で測るために便利なものだからだ。ただし、フォースが〈召喚〉ロールのリミットとして使われることはない。呪付には相当の変更を加える必要がある。多くの要素がもはや存在しない呪文のフォースを基本として作られているからだ。そこでドレインも含めて、ほかの指標を使うことになる。

原質はデベロップの過程で良いフィードバックが得られた部分で、より大きな枠でのシステムとうまく組み合わせて機能できるようになった。

こんな感じで、SR6の魔法システムについて私たちが考えていることの雰囲気を掴んで貰えたら、そして君たちが来年に見ることになるはずの、新しい呪文デザインシステムにわくわくして貰えたら、うれしい。

 

*1:ご承知と思いますが念のため。これらはいずれも仮の訳語です