さり海馬

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Vehicle Control for Dummies:03 センサー・テストとセンサー攻撃

 

drone sensor

Photo by Harrison Kugler on Unsplash

 はじめに

"VC4D: Vehicle Control for Dummies"はシャドウラン 5th Editionでのヴィークル制御関連の説明をする記事です。

今回は、センサーの使い方と、センサーの照準支援機能を使った攻撃(=センサー攻撃)について説明します。ドローンを本気で活用しようとするなら、この機能を理解しておく方がよいでしょう。

なお、このあたりからルールブックの参照ページがあっちこっちに行き来するようになります。分厚いルールブックをめくるのは大変かと思いますが、ご容赦ください。

また、ルールブック上の記述があいまいな箇所も増えてきます。そこらへんについては「私はこう考えます」という推測・提言をしていきますが、必ずしもその通りにするべきと主張するつもりはありません。大切なのはプレイヤーとゲームマスターの合意ですので、両者の判断で決めるようにしてください。

ヴィークルには【センサー】という能力値があります。素直に解釈すると、搭載されているセンサーの感知能力の高さを示しているように解釈できますが、実はこの能力値は:

  •  ①周囲を知覚する能力
  •  ②搭載武器の照準を支援する能力

の両方を表しています。

 

いつも通り、指摘や不明点、ご意見・ご感想などありましたら、お気軽にコメント欄の方にお願いします。コメントを頂けるとやる気に繋がりますので…。

センサー・テスト

それではまず、「①周囲を知覚する能力」について話します。

ヴィークルのセンサーを通して周囲を知覚する場合、センサー・テストを行います。テストに用いる能力値などが制御方法ごとに違っているので分かりにくいのですが、まとめるとこうなります:

手動制御:【直観力】+〈知覚〉[センサー]
遠隔制御:【直観力】+〈知覚〉[センサー]
自動制御:【パイロット】+〔鮮明化〕[センサー]

つまり、知覚を行うのがキャラクターの場合は〈知覚〉テスト、パイロット・プログラムなら【パイロット】と〔鮮明化〕を使ったテストになります。どちらもリミットは【センサー】です。

ただし、遠隔制御の場合、すべてのマトリックス動作のリミットに【データ処理】がかかってくる(→SR5, p.240 『機器を制御する』)ので、それを踏まえると実際には:

遠隔制御:【直観力】+〈知覚〉[センサーとデータ処理の低い方]

になります。この式は前回「遠隔制御」の項目で説明した各制御方法の「知覚:」欄と同じですね。

また、センサー・テストで発見しようとする対象が定まっているのなら、上記のダイスプールにはその対象のシグネチャーによる修正がかかります。具体的な基準と修正値については、SR5, p.184『シグネチャー表』を参照してください。

探知対象が隠れようとしている場合

探知対象が能動的に隠れようとしている場合、センサー・テストはその相手との対抗テストになります。この対抗テストで得られた純ヒット数がテストの結果になります。純ヒットが得られなければ探知は失敗です。

隠れる側が振るダイスは、隠れる側の制御方法によって以下のようになります*1

手動制御:【反応力】+〈忍び歩き〉[操縦値]
遠隔制御:【反応力】+〈忍び歩き〉[操縦値とデータ処理の低い方]
自動制御:【パイロット】+〔隠密〕[センサー]

この式は前回説明した制御方法の「隠密:」欄と同じですね。

※以前にも何度か書いていますが、ヴィークルで隠密行動をとる場合、〈忍び歩き〉技能のレーティングは使用するヴィークルの〈操縦〉技能のレーティングを超えられません(→SR5, p.183 『センサー攻撃』)。

煩雑になるので書きませんでしたが、〔隠密〕を含むオートソフトはヴィークルの機種ごとに固有のもので、異なる機種間の互換性はありません。運用する際にはご注意ください(→SR5, p.274 『オートソフト』)。

センサー攻撃

最初のところで触れた、センサーの「②搭載武器の照準を支援する能力」を使用した攻撃方法がこれです。

少しわかりにくいのですが、すべての制御方法で、このセンサーの照準を支援する能力を使う、使わないを指定できます。実は、センサー攻撃の方が必ずしも有利だとは限りません。使用する機器の性能(ヴィークルの【センサー】、コムリンクの【データ処理】など)によっては、使わない方がいいこともあります。ダイスプールの大きさやリミット、修正値を考慮した上で、使い分けた方が良いでしょう。

さて、センサー攻撃には、その使い方によって

・センサー攻撃(受動照準)
・センサー攻撃(能動照準)

の二つがあります。それぞれについて簡単に説明します。

センサー攻撃(受動照準)

センサー攻撃(受動照準)は、センサーの照準支援能力を使って搭載武器の照準調整を行う攻撃方法です。この照準方法を使う場合、テストは【論理力】ベースのものとなり、リミットは武器の【精度】ではなく、ヴィークルの【センサー】で決まるようになります。

手動制御:【論理力】+〈砲術〉[センサー]
遠隔制御:【論理力】+〈砲術〉[センサーとデータ処理の低い方]
自動制御:【パイロット】+〔照準〕[センサー]

また、制御方式に関係なく、上記のダイスプールには攻撃対象のシグネチャーによる修正がかかります。修正の項目と修正値については、SR5, p.184 『シグネチャー表』を参照してください。基本、デカいものほど、多くの熱を出しているものほど、狙いやすくなります。

ここで分かるように、遠隔制御時にはデフォルトで受動照準が使われていると考えられます*2

センサー攻撃(能動照準)

能動照準はさらに高度なセンサーの機能を活用し、いわゆる「ロックオン&自動追尾」を行うためのものです。手順はどの制御方法でも同じく:

  • センサー・テストを行って対象をロックオンする
  • 攻撃テストを行う

になります。センサー・テストのダイスプールの求め方は、前述の「センサー攻撃(受動照準)」と同じです。詳しい処理の内容については、SR5, p.184『能動照準』を参照してください。

能動照準のいいところは:

  • 攻撃を回避しにくい:センサー・テストでの純ヒット数が、相手の防御テストに対する不利な修正として適用される
  • ずっと続く:一度センサー・テストに成功してしまえばロックオン状態となり、相手がそのロックオンからどうにかして逃れるまでは、その相手に対するセンサー・テストは不要になり、最初に決まった不利な修正がずっと継続して適用される

というところです。

なお、ロックオンから逃れるためのテストについては、SR5, p.184『能動照準』にある『センサー防御表』にあるダイスを振ります。ただ、説明文中にある”「探知を回避する」動作”の記述がルールブックになく、その動作が簡易・単純・複雑のどれにあたるのかが分かりません。私としては、映画などではロックオンを必死に振り切ろうとするシーンがよくあることから、複雑動作にしておくのがいいかなと思います。

センサーに関わる動作の分業

センサー・テストと搭載武器の攻撃テストは操縦者以外の同乗者に任せることができます(→SR5, p.202『ヴィークル搭載/内蔵武器を撃つ』および『センサーの使用』)*3。何より操縦者の手間を減らせますし、適切な能力値と技能を持った人材を砲手として配置するというのも、それっぽいですよね。

ちなみに〈砲術〉はデフォルティング=可のヴィークル系能動技能(→SR5, p.147『砲術』)ですので、最悪、技能がなくても使えます(当たるかどうかはともかく)。技能無しで技能テストを行うデフォルティングについては、SR5, p.130『デフォルティング』を参照してください。

センサーの改造……は、もうちょっと先

ヴィークルでセンサーを介した知覚やセンサー攻撃を行う場合、ほとんどのテストのリミットが【センサー】になります。一方、ヴィークルやドローンのほとんどは【センサー】が3程度です。

センサー・テストやセンサー攻撃のヒット数もせいぜいその程度にしかなりません*4。これだと本格的な戦闘用として使うのは少し辛いです。ヴィークルやドローンの【センサー】を上げる改造ルールは存在するのですが、これが導入されるのが未訳サプリメント"Rigger 5.0" です。ロックオンした攻撃でバンバン敵をぶっ倒せるようになるのは、もう少し先になりそうです。

まとめ

  • ヴィークルの能力値【センサー】は、①センサーを通して周囲を知覚する能力と、②センサーを使った搭載武器の照準を支援する能力、の両方を表している
  • センサーの照準支援には、受動照準と能動照準(ロックオン)がある
  • センサー攻撃はあまり有効でないこともある

次回予告

 次回はノイズについて簡単に触れてみたいと思います。その次はいよいよリガー的なお話に入っていく予定です。

でわでわ。

 

 

*1:SR5, p.184 『センサー攻撃』および『センサー防御表』には、ヴィークルとドローンで違うテストを行うように書いてあります。実のところ、これはヴィークルとドローンの違いではなく、直接制御と自動制御の違いだと考えるのが自然だと思います(でないと、ヴィークルが自動制御されているときにも「ヴィークル」の欄にあるダイスを振ることになり、誰の【反応力】を使うのか?、ということになってしまうためです)。ですので、本記事ではこのように取り扱うことにします。ご了承ください。

*2:「遠隔制御でセンサーの照準支援を使わなかったらどうなるのか?」という疑問について。(搭載武器の【精度】とヴィークルの【センサー】次第では、その方が有利になる場合もあるでしょう)。ルーリングとしては、①それはできない、②【敏捷力】+〈砲術〉[センサー]を使う、の二通りが考えられます。ルールブック上はできるともできないとも書いていないので、PLとの話し合いの上で、GMが適宜判断するべきでしょう。

*3:制御の優先権(→SR5, p.269『制御の優先権』)の都合上、これができるのは手動制御に限られると解釈するのが妥当なんじゃないかと私は思いますが、ルールブックにはできるともできないとも書いてないので、遠隔制御での分業を許すかどうかは、PLとGMで話し合って決めてください

*4:リガーがジャンプインして使うと、もう少し良くなるのですが、それはともかく