さり海馬

Thoughts walk away, blog stays.

「復活の地」読了

非常に面白かった。特に震災後の都市部がどういう状況になるのか、という点について、行政側の取り組みや力学なども含めて、多岐にわたる取材をベースにした緻密な描写が読ませる。実際、これはSFにしなくても良い話なのかも知れない*1

こうした災害復興ものは、展開が地味になりがちで、途中で失速しちゃうことも良くあるのだけれども、この作品は、登場人物の造形を深く行うことで、人間ドラマとしての面を強く打ち出している。特に、主人公たちが無謬でないことや、自らの限界を知って歯軋りするあたりに、好感をもった。*2

久しぶりに、「この作者の作品をもっと読んでみたい」という気持ちになった。お奨めしてくださった方に感謝したい。

復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 2 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 2 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)

復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)

*1:もちろん、SFならではの仕掛けがあるわけだが

*2:主人公が発想の転換を行うに到る過程については、描写が多少甘いので、唐突な気がするのは確かだが。