「超人ニコラ・テスラ」読了
- 作者: 新戸雅章
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1993/06
- メディア: 単行本
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誘導モーターを発明し、交流送電の実用化に大きな功績を残したテスラ。ところが彼は、殺人光線・人工地震兵器など超兵器開発の先駆者として、怪しげな伝説に彩られてもいるのだ。本書はこの天才発明家の虚と実を、厖大な資料を駆使しつつ検証する。日本で初めてのニコラ・テスラ正伝。
比較的トンデモな文脈で言及されることの多い*1テスラだが、本書はその怪しさの部分から距離をおいて、出来るだけ客観的な描写に専念しているところに好感が持てる。よくあるような陰謀説に荷担することなく、評価すべきところは評価すべきとして、また惜しむところは惜しむべきとして書き綴っているので、読むほうもヘンに気張らないで済んでいる。
また晩年には、他の多くの科学者同様、アインシュタインの相対性理論に対して異を唱えている姿も描かれている。彼もまた、エーテルの存在を信じていたのである。突飛な発想で人を驚かせていた天才も、やがてその柔軟さを失い、新たな波に乗ることを拒否するというクリシェが、ここにも現れている。
脚色の少ない、事実に近いテスラを知りたいのなら、この本はお奨め。
しかしこの本を読むまで知らなかったのだけれど、米国では無線通信の基本特許って、「無線の父」マルコーニじゃなくて、テスラのものだったのね*2。あと、世界初のラジコンをやったのも彼。ふむぅ、そういう意味では、確かにテスラの業績ってもっと知られていいと思うなぁ。
追記。
上に載っている本は、私が図書館から借りたものなんだけれども、その後に改訂版が出ていることが分かった。オウム真理教がテスラの地震兵器を研究していたことは、一部では有名なんだけれども、そのことに関連して一部改訂が行われ、新版が出ている。
- 作者: 新戸雅章
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1997/03
- メディア: 文庫
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…しかしそのタイトルはどうにかならなかったのか(苦笑)
追記2。
テスラのファンクラブというのが世界中に存在するらしい。とりあえず本書の著者のサイトを見つけたので、URL 貼っておく。