さり海馬

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「風の海 迷宮の岸」 読了

風の海 迷宮の岸 十二国記 (講談社文庫)

風の海 迷宮の岸 十二国記 (講談社文庫)

面白かった。主人公の少年(?)の心の動きが繊細に描かれていて、その上手さに流石、と思ってしまった。不覚。

「才能こそあるものの、自信の無さゆえにうまくいかない少年を、周囲が盛り立てていく」という、ジュブナイル系の基本構成に忠実なお話ではあります。

才能が開花するシーンでの躍動感のあるカタルシスや、才能に目覚めた後はオトナとしての責任を負い、甘やかな少年時代との決別をちょっとだけ感傷的に描くあたりが、なかなかにお見事です。定石というものは、力があるから生き残っているのだ、という言葉の意味を体感する今日この頃であります。