さり海馬

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RedBrickがゲーム出版から撤退する件


Earthdawn Reviced Edition、Fading Sunsなどを出版していた RedBrick社がゲーム出版から撤退するというアナウンスがありました。以下はそのアナウンスの超訳版です。

原文へのリンクはこちら→ http://redbrickllc.com/forums/viewtopic.php?f=8&t=659#p5534


RedBrickはゲーム出版を廃業します

これはRedBrick社からゲーム・コミュニティとRedBrickのファンへ向けての公開書簡です。

数か月以内にRedBrickは9周年を迎えます。2003年にEarthdawn のライセンスを取得して業務を始め、2007年にはFading Suns、2008年にBlue Planet、2011年にはDemonworld が加わりました。この間にたくさんの人々が増えたり減ったりしながら関わってきました。その全員がこの仕事をパートタイムでこなしました(今もそうです)が、みんなさまざまなやり方で大好きなゲームに貢献してくれた、才能ある人々でした。

この会社が生まれたのは手違い――実は私の知らない間に送られた一通のメール――によるものでした。そしてそれが発展つつあったさまざまな技術(オンデマンド印刷と電子出版がその鍵となりました)と相まってチャンスとなりました。RedBrickはDriveThruRPG(現在の OneBookShelf)の初期のサポーターのひとつであり、Lulu の POD サービスにも早くに対応した会社のひとつでした。

ご他聞にもれず、この会社にも苦しい時がありました。そのうちのいくつかは私の決断によるものでした。それ以外は、RedBrickのメンバーのリアルライフに関する障害もありました。私個人としては、人生を変えるようなある一つの出来事によって、ニュージランドから今の米国へと会社が移動することにもなりました。

あらゆるものには潮時というものがあります。さまざまな機会が生じ、私たちはそれをあるがままに受け入れなければならいないものなのです。それが今回は、RedBrickがその目的を終え、何か別のものになる時を迎えた、ということなのです。

2012年のGenConでは、私たちはFASAとブースをシェアしていました。その場での、現状やこの先のことに関するインタビューが数多くインターネット上にまとめられています。中にはインターネットにありがちなさまざまな憶測が飛び交ってはいます。RedBrickがゲーム出版から退く理由は、実はとてもシンプルで、そのほとんどは今がその潮時だということなのです。

ビジネス:人とビジネスについて教訓を得たのだということもできると思います。私が下した決断には良いものも、(とても)悪いものもありました。私はいつも多忙でしたし、ビジネスというものの仕組みに無頓着でした。その中でたくさんの友人もできましたが、私が失敗をやらかして失った友人も多くいます。全体的には勝ち越しているとは思いますが、そろそろ古いやり方のビジネスを変えるべき潮時なのです。

プライベート:私がRedBrickを作った理由の一つは、すでに亡くなった私の息子をこの会社に関わらせるためでした。彼は才能豊かで社交的で聡明で、そしてゲームに夢中でした。その可能性が断たれた今、私は区切りをつける必要があったのです。

(訳注:氏は、事故で奥さまと息子さんを一度に亡くしています)

機会:それは、私よりもはるかに多くの経験を積んだ方々から頂いたチャンスでした。こんな機会はまず無いことなので、私の答えは「イエス」しかありませんでした。その結果、私は FASA Games の社長に就任することになりました。さらなる努力と行動とが求められますし、通常の仕事と並行して複数のゲーム出版を経営するのは無理ということでもあります。

タイミング:つまり、それはいつも運命の手にゆだねられているのです。本年初めにこの機会がやってきたのですが、あまりにも短い期間に膨大な仕事をこなさねばなりませんでした。特に GenCon は大変でした。そのため、いろいろときちんとできないこともありました。ごめんなさい。

RedBrickがライセンスを持っていたゲームがどうなるかについて、まとめて書きます:

EarthdawnとDemonworld:ライセンスはFASA Corporationに戻り、その後 FASA Games, Inc.に移ります。
Fading Suns、Noble Armada、Blue Planet:これらのライセンスは元の権利者に戻り、その後 FASA Games, Inc.に移ります。

RedBrickについては、これ以外のことはまだ何も決まっていません。RedBrickのメンバーが FASA で働いていますが、その全員が移動するという訳ではありません。FASA はEarthdawn改訂版(訳注:RedBrickが出していたもの)、Blue Planet、Fading Sunsを扱っていくことになるでしょう。Earthdawn に対する Savage World と Pathfinder のライセンスは、Demonworld と一緒に移行するでしょう。つまり、ほとんどの部分は「現状維持」ですし、「通常運転」になります。

RedBrickのフォーラムとオンライン・ストアは今のまま残りますし、それはあと1ヵ月ほどで FASA のウェブページが運用を開始しても同じです。この以降期間中も、RedBrickは喜んで FASA とリソースを共有していきます。例えば、RedBrickは FASA の商品をRedBrick・ショップで売ります。FASA の運営が軌道に乗るまでは、新しいプロダクトのアナウンスはRedBrickのサイトで行います。そういう意味では、しばらくはこれまでとほとんど同じままになるでしょう。ただしそれは「ほとんど」です。OneBookShelfで販売されているRedBrickの電子書籍は近い将来に無くなります。その多くは廃盤となるでしょう。

FASA は独自のアナウンスを行うことになりますが、それはGen Conのごたごたが片付いてからのことです。RedBrickで起こっていることの説明をするのにはその方がいいでしょう。私がRedBrickを退社してFASAに移るということが、RedBrickに起こる変化と全く関係がないと言うつもりはありません。しかし、FASA で働くと決まったことで、RedBrickのゲーム出版撤退が進んだのは確かです。

では、この変化が終わった後、RedBrickはどうなるのでしょうか? そうですね、それでも私たちがいなくなってしまう訳ではないのです。数年前、私は息子に、一緒に本を出そうと約束していました。私たちはアイデアを話し合いましたが、それを紙に書いて印刷するべき時期がやってきたと考えています。RedBrickはフィクションの出版社になり、ゲームからは撤退します。個人的には、そのことがこの約束を実現する助けになるのではないかと考えています。「そして、お休み」

最後に、9年間にわたってRedBrickを支えてくれたファンとデベロッパーの皆さんに感謝します。本当にエキサイティングで、恐ろしく、感情豊かで、時には悲しく、しかし全体的には楽しい旅でしたし、そこに加わった全員が、コミュニティに参加したことを誇りに思うべきです。みんな才能にあふれていましたし、私たちのホビーの歴史の一部となったことを誇りに思います。

「そして僕らは明かりを落としてグラスにワインを注ぐ。それは思いを凝らすとき。そして変化のときだ」

ありがとう。

James Sutton
Managing Partner, RedBrick LLC