さり海馬

Thoughts walk away, blog stays.

スプロール・ワイルド が出ます!

 

シャドウラン スプロール・ワイルド (Role&Roll RPG)

シャドウラン スプロール・ワイルド (Role&Roll RPG)

 

twitter などでもアナウンスされていますが、9/13(…あれ、9/12になってるな?)に発売されます。

 先日開催されたTRPGフェスティバル 2019(http://trpgfes.jp/)では、少数が先行販売されていた模様です。

4本の独立したシナリオの入ったシナリオ集で、4th/5th の両方に対応しています。

Shadowrun, Sixth World の魔法システム

www.catalystgamelabs.com

 

…というわけで、ちょっと遅れましたが翻訳してみました。

 Shadowrun, Sixth World における魔法

by Jason Hardy, Shadowrun Line Developer

 Gen Conが――みんなが私にいつも思い出させてくれる通り――4週間先に迫っている。そこでは Shadowrun, Sixth World がいよいよリリースされる。それに備えるために、この先数週間を使ってこの本の、戦闘やマトリックスを含むの様々な面について話をしたいと思う。新しいユーザーにも古参のユーザーにも等しく、この深くて魅惑的なシャドウランの世界のことを伝えるという、昔から変わることのないチャレンジをしてみよう。まずは、魔法についてだ!

魔法のシステムを改めるのは、初っ端からの大きな難題の一つだ。私はシャドウランの魔法システム(ここでは特に呪文に絞って話すけど)が本当に気に入っているからね。現状のシステムはやるべき事を見事にこなしていると思うし、そのおかげで魔法使いは大きなこともできるし、小さなこともできるし、その代償がどれほどになるかを考えることもできる。取締役会にバカでかい《火球》を投げ込みたい? できるよ。ただその後、気絶した自分を運び出してもらうための荷車か何かが必要だろうけどね。

そんなわけで、システムがうまく機能しているなら、何を変える必要があるだろうか? SR6の最初の歯車が回り始めた時から、最初に私が考えていたのはそれだった。私はずっと、毎度湧き上がってくる魔法についての一つの要求について、考え続けてきた。それは呪文を、プレイヤーやゲームマスターが自作できるようにする、というものだった。ゲームのバランスを維持したままそれをするというのは難しいかも知れない(RPGのルールに完璧なバランスなんてものは無いのだけれど、それについてはまた別の機会に話すとしよう)。でも、最初からそれを見込んでシステムをデザインすることができるなら、便利なものになるだろう。

 そんなわけで、SR6 の呪文行使はそんな感じになる。呪文はゼロから(徐々に)デザインしていくもので、最終的には魔法使いが自分の呪文を設計できるようにしていく。このシステムでは呪文はモジュール化して扱うので、一つ一つの呪文は、モジュールを組み合わせたものになる。例えば《火球》は、戦闘呪文+対象は生命体+火+範囲効果+遠隔、になる。

 さて、ここからはちょっと焦らす感じになる。というのも、SR6では最初から呪文をデザインすることはできないからだ。それをするためには、すべてのモジュールとその組み合わせの説明をコア・ルールブックに載せなきゃならないんだけど、そのためのスペースが無いんだ。そんなわけで、コア・ルールブックで使えるものは何かと言うと、こんな感じになる:

  • フォースは呪文行使前に宣言しない。すべてがモジュール化されているので、フォースの値が必要になるもの――具体的には、効果範囲を広げるとか、呪文のダメージを上げるとか――は、別のモジュールとして組み込まれている。それに加えて、SR6ではリミット自体が全体的に削除されているので、魔法ルール上の扱いも違ってくるのも妥当だろう。私は初心者のプレイヤーたちがフォースの扱いに困るシーンを何度も見てきた。だからこういう風に変更すれば、少々扱いやすくなるだろう。そうしたければ呪文の威力を上げることもできるが、あらかじめチャージしておいて、扱いに困らないように基本的な呪文を行使することだってできる。
  • 元素属性効果はもっと頻繁に登場するようになる。このモジュール・システムは広い範囲の元素属性効果を扱うことができるし、それはさまざまな状況下で利用できる。その例としては、《冷却治癒》や《温熱治癒、《元素装甲》なんかがある*1
  • ドレインは統一感のあるものにするべきだ。すべてのドレインは同じモジュールからの計算で求められるため、さまざまな呪文において統一感のあるものになるはずだ。

もちろん呪文行使は魔法の一分野に過ぎない。アデプトパワー、錬金術、召霊術、原質、儀式呪文行使、そしてアストラルでの移動や戦闘なんかもそこに含まれる。こうした分野において、これまでに Shadowrun, Sixth World の開発者プレビュー記事で話して来た、拡張されたエッジ・システムを活用した大幅な変更が行われることになっている。魔法のさまざまな要素を、このエッジのパラダイムに合うように調整したり、弄ったりする必要がある。これは修正値の計算を減らし、ロールプレイング・ゲームのクールな部分をもっと楽しめるようにするものでなければならない。

精霊は呪文とは違い、フォースを持ったままになる。個々の霊体の能力を一律で測るために便利なものだからだ。ただし、フォースが〈召喚〉ロールのリミットとして使われることはない。呪付には相当の変更を加える必要がある。多くの要素がもはや存在しない呪文のフォースを基本として作られているからだ。そこでドレインも含めて、ほかの指標を使うことになる。

原質はデベロップの過程で良いフィードバックが得られた部分で、より大きな枠でのシステムとうまく組み合わせて機能できるようになった。

こんな感じで、SR6の魔法システムについて私たちが考えていることの雰囲気を掴んで貰えたら、そして君たちが来年に見ることになるはずの、新しい呪文デザインシステムにわくわくして貰えたら、うれしい。

 

*1:ご承知と思いますが念のため。これらはいずれも仮の訳語です

Shadowrun, Sixth World、Origins Game Fairに初お目見え

www.shadowrunsixthworld.com

 

Origins で Shadorun , Sixth Edition が初お目見えするそうです。ちょっとお得なオファーもあるみたいなので、会場に行けない人も要チェック。

 Shadowrun, Sixth World が Originz Game Fair にデビュー

By Ray ARRASTIA | 投稿日: 2019/6/12

 Origins Game Fair は正に開催されようとしているが、それと同時に、Shadowrun, Sixth World のワールドプレミアも開かれる!

6/13(木)を皮切りに、6/16(日)まで開催される Origins は、新しい Shadowrun, Sixth World Beginner box set に触れる最初の機会だ。コンベンションに参加するみんなは、新しいルールを初めて試すチャンスだね。Catalyst Game Labs のブース(701、707、807)で販売予定の製品は以下の通り:

  • Shadowrun, Sixth World Beginner Box (発売済み: 6/10)
  • Neo-Anarchist Streetpedia (発売済み: 6/12)
  • No Future (発売済み: 6/10)
  • Mekeda Red (ただいま発売)
  • Prime Runner miniatures (先行販売。発売日未定)
  • Shadowrun Dice & Edge Tokens (先行販売。発売日未定)

Shadowrun, Sixth World の発売を祝して、上に挙げた商品の物理版を Catalyst Game Labs のストアで買ってくれた人全員に、無料で PDF版をあげます(当たり前だけど、ダイスとエッジトークンは除外ね)。このプロモーションは、本日発売の  Neo-Anarchist Streetpedia (PDF版 、物理書籍とPDFのセット  ) の公開と同時に開始だよ*1

 さらに、Catalyst Game Labs のブースに来てくれた人全員に、最新版の Shadowrun, Sixth Edition のポスターを1枚プレゼント。それと、Origins で Shadowrunのゲームをプレイしてくれた人はみんな、特製のダイスかエッジトークンをお土産に持ち帰ってもらう(ただし、在庫が切れたらおしまい)。それ以外にも、シャドウランバトルテック、ドラゴンファイア、その他もろもろのゲームを走らせる予定だよ!

デモンストレーションに使った Shadowrun, Sixth Edition のゲームは Catalyst のブースで買えるよ。Gaming Hall では、Shadowrun Missions が、新東京のストーリー・ラインの第9セッションをプレイする。第五版の Missions としてはこれが最終になるね。

 

*1:訳注:すでに始まってます

シャドウラン・ライン・デベロッパーのジェイソン・ハーディとのQ&A

www.catalystgamelabs.com

 

……というわけで翻訳しましたよ、と。

読みやすいようにちょっと体裁を弄り、改行を追加しています。原文は↑のリンクから確認してください。

 

シャドウラン・ライン・デベロッパーのジェイソン・ハーディとのQ&A

By レイ・アーラスティア

 

今週の Shadowrun, Sixth World 速報へようこそ! 今週の記事では、インターネットのあちこちのサイトを回って集めてきた Sixth World についての共通する質問を、シャドウランのライン・デベロッパーである Jason Hardy に投げて、答えてもらった。


質問:Sixth World では、第五版で見つかったいくつかの問題を修正しようとしているのか、それとももっと、シャドウランのゲーム全体を根本的に見直そうとしているのか、どちらでしょう?


回答:間違いなく後者に近い。ただ、全体の根本的な見直しだとは思わない。D6 を使ったダイスプールはあるし、同じ能力値を使う。それに多くの面が前の版と同じだ。ただ、第五版をちょっと弄るとか調整するだけにはしたくなかった。まったく新しい版にしたかったんだ。新しいコンセプトと以前とは違うフィーリングにね。それと、ゲームを整流化したかった。次の質問の話題がコレだね。


質問:Sixth World のルールを整流化する上で取捨選択をするときに、デベロッパーの皆さんは、他のゲーム・システムを参考にしたりしましたか?


回答:短く答えるなら「イエス」だ。もうちょっと長く答えると、私はゲームをたくさんプレイするから、いつも他のゲームから学べることを探している。特に、ダイスやダイスプールの調整の仕方について、どんな風にうまく計算しているのかに注目している。目標値を調整するとか、ダイスを増やすとか、ダイスの出目に+1するとか、ダイスを振り直すとか。このどれも、それぞれに違う効果があるし、ゲームをデザインする上で、その違いを理解するのは大切なことだ(能力値でいろいろ遊んでみるために、スプレッドシートを容易してるんだ)。


それと私は、ロールプレイング・ゲームにとって決定的に重要な一つの要素にも注目している。それはキャラクターに対して、意味のある選択の幅を与えるものだ。詳しい話はしないけれど、これをすばらしく上手にやっているゲームもあれば、キャラクターの行動には本当に狭い選択肢しか与えていなくて、たいてい1つか2つしか行動を選べないゲームもあった。私たちは前者になろうと考えた。


質問:Sixth World のルールを改訂するときに、デザイナーの皆さんが意見を貰ったのは誰ですか? そのシステムのプレイテストはどんな風にして、その結果どういう変更が発生したのでしょうか?


回答:大勢のみんなさ! デベロップの初期は、もっと色々模索する段階だった。僕らは新しいアイデアを得るために、毎日シャドウランの仕事にどっぷりと浸かっていない人たちと話をして、シャドウランをどんな風に違う形で再発明できるかの意見を聞いてみた。それとシャドウランの仕事をしているフリーランスの人たちにも話を聞いた。特に、シャドウランをみっちりプレイした経験について色々聞いてみた。
プレイテストはいくつかのフェイズを通して進んでいった(面白い話:コアになるテキストは、プレイテストの間に12回も更新を繰り返したんだ)。このプロセスの間に、僕はさまざまに違った人たちの中でプレイしてみた。カタリストのスタッフ、シャドウランのベテラン・プレイヤーたち、そしてシャドウランの初心者たち。シャドウランに関わっているフリーランサーたちは何度かプレイテストをした。初期段階にゲームの基本構造を決める必要があったからね。


その基本構造が定まったら、さらに広い範囲でプレイテストをした。僕たちには、スタッフでもフリーランサーでもないプレイテスターがたくさんいて、色々なゲームに参加してもらっている。その多くがプレイに参加してくれた。そのおかげで僕らは、新鮮な視点からこのゲームのルールセットを見ることができたし、それはこのゲーム開発の初期段階にも、SR5のルール作成にも関わらないものだった。


このプロセスで生まれた変更はたくさんある。いくつか例を挙げてみよう:

  • 最も初期のプレイテスト・ルールには、現在ではエッジの一部になっているものが、別のサブシステムとして存在していた。プレイテスターたちは、このすべてのシステムをエッジに統合できたら良いんじゃないかと思った。これは良いアイデアだった。
  • プレイテスト中には、キャラクターに幅を出しつつ、技能をもっと扱いやすく再編成するためのアイデアがたくさん出た。Specialization/専門化と Expertise/特化 のシステムはそこから生まれたものだ。
  • 初期のプレイテストの文書は、戦闘中にエッジを使用することを重視していた。使い道を広げようという意図だったが、プレイテスターたちはすぐに、エッジはゲームプレイの複数の分野に適応していくべきだと強調するようになった。
  • プレイテストは、ちょっとした変更をするのにも便利だった。ダメージ値、資質ごとのカルマ消費、呪文のドレイン値、その他もろもろがプレイテスト中に調整されていった。

質問:すべてのキャラクターのクラス用のソースブックが全部出揃うのはいつ頃になりそうですか? そういうソースブックが揃うまでは、コアルールに合わせて僕のキャラクターを「ダウングレード」しなきゃならないんでしょうか?


回答:戦闘用のソースブックが今年の末に出る予定だ。第五版と同じく、それ以外の主要な本は、開発と執筆が終わり次第、定期的に発行されるだろう。キャラクターを新しい版にコンバートするためのガイドを出す予定だが、合わせて2000ページ以上もある第五版のルールブックを一発でコンバートできるルールを出すことはできない。特に、第五版の最後のルールブックがまだ出ていないからね。だから僕は、そっちと Sixth World とを平行してやらなきゃならない。主要ルールブックを1年以内に出そうとしたら、他の仕事を全部止めても1年はかかる。それは無理な相談だよね!


質問:Missions が Sixth World 版のルールに切り替わるのはいつですか? そしてそうなったら、キャラクターは基本ルールブックにある範囲のものにリセットしなきゃならないの?


回答:すべてが計画通りに運んだら、最初の新東京 Missions は第五版と Sixth World 版の両方の能力値を掲載したものになるだろう。秋口くらいに出せるといいなと思ってる。つまり、Sixth World のルールで Missions をプレイするまでに、コンバートに使える時間が半年あるということだ。両対応がスムーズに行くようなら、それをさらに続けてもいい。


質問:リガーには何か変更はありますか。ルールだとか、ランへの関わり方とか? リガー用のルールブックは過去の版よりも早めに出たりしますか?


回答:うん。ヴィークルの能力値は大きく変更される。ある意味、ここはルールがちょっとだけ複雑になる箇所で、以前の版で使っていたような抽象化されたチェイスルールなしでヴィークルの移動を管理できるはずだ。マトリックスのルールも変更される。これとリギングのルールとをうまく合うようにしてある。ただ、それについてはここで触れられる範囲を超えているね。ドローンのリギングやヴィークルの操作から他のヴィークルやドローンを乗っ取ることまで、リガーにはやることがたくさんあるに違いないね。
リガーやその他の本が出るタイミングについては、今はまだ決まっていない。でも、いい機会だから言っておくけれど、リガー5.0が出たのは3年以上前だ。第五版のサイクルの半ばよりは前だったんだよ。


質問:Sixth World で技能の数が減るのを気にしている人たちに、何かお願いします?


回答:第一に、specialization と expertise の目的は、スキルセットを小さく保ったまま、キャラクターたちに出来ることを増やすことにある。これが便利で、キャラクター各人にそれらしさが出せるものになるといいと思ってる。第二に、最終的に君たちが第五版のように技能の数が多いほうが好みだというのなら、それはそれで構わない。かなり昔に、僕はシャドウランのどの版も、万人にぴったり合うようなものではないのだ、という一種の確信みたいなものを持つようになった。人の好みは十人十色だし、僕はこの Sixth World のルールやツールが、相当数のプレイヤー・グループに楽しんで使ってもらえることだけを願ってる。

 

質問:エッジについて、もう少し話してもらえませんか。第六版ではどんな風に変更されていて、それはなぜなんでしょうか?


回答:エッジが進化していったプロセスは、このゲーム全体の中でももっとも長く、もっとも細かいものだった。だから出来るだけ手短……めにまとめるよ。

ブレーンストーミングを経てルールを書き起こしたとき、最初に注力したのは戦闘についてだった。僕は戦闘のプロセス全体をもっとスムーズに運用できて、戦闘自体はもっと手早く解決できるものにしたかった。このプロセスを弄るためにたくさんのものを参考にしたが、最終的には、すべてが一つの問題に突き詰められていった:

ダイスプールの計算には時間がかかる、ってことだ。

いろんなところから修正値を拾ってこなきゃならないし、そのありかを全部覚えてなきゃならないし、値の大きさも忘れちゃならない。これを全部やるのは複雑だ。僕はこのプロセス全体を整流化したかった。

その最初のステップは、武器のすべての特性値を Attack Rating/攻撃値 という一つの値にまとめることだった。この値を攻撃対象の Defense Rating/防御値 と比べる。初期のシステムでは、この差が十分に大きければ、Chip と呼ぶものが得られる。これはその戦闘における有利さを累積させたものだ。この中には他の概念も入る。戦術上の優れた達成状況などがあれば、さらに Chip が得られる。

これをプレイテストしてみた結果、Chip システムとエッジがよく似ていることに気づいた。だから、ゲーム内に新しいポイントを持ち込むよりは、エッジを拡張するのがベストだと分かったんだ。この合体が終わったら、次の仕事はゲームシステム全体にエッジを導入することだった。だからデッカーも、フェイスも、リガーも、テクノマンサーも、影の世界で活躍するその他の誰もが、特定の行動でエッジを積み上げ、使うチャンスを得られるようになったんだ。

 

質問:基本ルールの整流化と、シャドウランのプレイヤーたちの多くが楽しんでいる複雑さとの間のバランスをどのように取っているのでしょうか?


回答:これは難しかったんだよ! 最終的には、これは優れたゲームのフレームワークを作るということなんだと思った。シャドウランの基本はシンプルだ。これから試みようとする行動に適切な技能を探し、その技能値と関連能力値とを足す。そしてその数のD6を振る。5と6の出目の数を数える。君たちはゲームマスターか別のキャラクターによって決められた目標値を突破しようとする。覚えるのは難しくない。

複雑なのは付属物の方だ。つまり最終的にはこうなる。基本ルールに付属物を載せすぎないこと。 Sixth World でのエッジの機能は、プレイヤーたちにゲーム上での効果のある選択肢をたっぷり用意しつつ、その効果を決めやすくすることだ。

 

質問:シャドウランをやり込んできたプレイヤーが Sixth World で遊ぶべき理由は何ですか?


回答:上達と挑戦のためさ! ゲームのルールは構造と限界を定める。プレイヤーたちは自分がクールだと思うことを、その構造の範囲内で引き出す。新しいキャラクターを作るときと同じように、新しいルールは新しい道具立てで何が出来るかを試すチャンスを与えてくれる。Sixth World では、戦闘はより速く展開し、スペクタクルな出来事を起こすチャンスももっと頻繁にやってくるようになる。

それに、第五版のルールブックが重たすぎて腰が引けているような人たちを、もっと簡単にゲームに引き込めるようになるかも知れないよ!

Shadowrun, Sixth World のセッティング概要が公開されました

www.catalystgamelabs.com

…というわけで、早速訳してみましたよ。

SHADOWRUN, SIXTH WORLD セッティングの概要

By Jason Hardy, Shadowrun Line Developer


先週の投稿では主に『Shadowrun, Sixth World』のルールについて書いたけれども、今日は『Shadowrun, Sixth World』の成功の鍵となる要素、セッティングについて話そうと思う。それは単にファンタジーサイバーパンクの邪悪な、しかし説得力のあるハイブリッドというだけでなく、長年にわたって展開され、進化してきた、現在進行形のストーリーラインのことでもある。ドラゴンや精霊やサスカッチが強大な企業の権力と結びつき、AIやその他のミステリアスなモノどもがマトリックスをうろつき、呪文を使うギャングが世界中の都市で混乱を拡大している。第六世界は活気に満ちた、エキサイティングな、そして常にシャドウランナーを試し続ける場所なんだ。

 

誰でも良いからシャドウランのファンを捕まえて話をさせてみれば、世界友愛団、レンラク・アーコロジー、ダンケルザーンの死、クラッシュ2.0、シカゴの未来のための戦い、なんかについて語ってくれるだろう。過去30年にわたって紐解かれてきたストーリーは、それがソースブックや小説で展開されるたびに、プレイヤーや読者を楽しませてきたんだ。

 

この伝統は 『Shadowrun, Sixth World』でも引き継がれる。先週僕は、出版予定のプロット・ソースブック『Cutting Black』と、キャンペーンブック『90 Nights』のことを話した。今後のプロットのネタバレをするつもりはないけれど、アレスが昆虫精霊に対して大きな動きを見せ、その破壊行為に対するさまざまな反応が世界の形を作り変える。この出来事は大きく、多方面にわたり、シャドウランナーたちが関与する余地がたっぷりある。一連の出来事はシャドウランナーの頭の中だけで起きるのではなく、まさしくその渦中にいて、世界を揺るがすようなさまざまなイベントに対処し、一体何が起きているのかと考えながら、生き抜いていくことになる。

 

こうした一連のイベントは重要なものだけど、シャドウラン・ユニバースで語るべきすべてのストーリーを網羅したものにはなっていない。小説や中編小説、掌編小説は、その読者たちを読者をそのユニバースにに没入させて、忘れられない物語を共有する上で、重要な役割を果たすんだ。ナイジェル・フィンドレー、トム・ダウド、ロバート・チャレットの名作から、ラッセル・ジマーマン、ジェニファー・ブロゼック、R.L.キングなどのお気に入りの新作まで、シャドウランは偉大な物語や語り部の生まれ故郷なんだ。つまり僕は、これから出てくる小説について話すのがとても楽しみだということなんだ!!


僕たちはすでに、六編の中編小説からなる『The Frame Job』について話している。この中では、Beginner Box Set に登場する4人のキャラクターをカバーしているし、ボーナス・キャラクターも登場する。そして6番目の中編小説で、全体のストーリーをまとめる。ディラン・バートロが第1話、ブルック・チャンが第2話 、そしてブライアン・スティール、CZ ライト、ジェイソン・シュメッツァーがその他のキャラクターたちを書く。まとめて届けられて嬉しいよ!

だが、出版予定のシャドウランの小説はこれだけじゃないんだ。ジェニファー・ブロゼックの『Makeda Red』という題名の新作が予定されている。このお話は、ラグジュアリーなパーティー列車からの抽出で始まり、そのコンセプトが暗示するとおりに、どこを読んでも面白いんだ。他にもラインに乗ってる作品があるから、今後のお知らせに注目していて欲しい!

 

Shadowrun, Sixth World』の評判は広まってきている! EN World には Begginer Box についてのレビューが載っているし、Diehard Game Fan は開封の儀をポストしてる。Shadowcasters Network はずっと、ルールや今後の出版予定をカバーしてくれている。Meeple Monthly と GTM にはこのゲームについての記事が載っている(後者には新作の両面ポスターまで付いてるぞ)。今後ももっとレビューが載るだろうし、僕らも気づいたらリンクを張るとするよ!

コメント欄を開放しました

ブログの設定を「はてなアカウントを持つ人だけ書き込み可能」に設定していたため、そうでない方からのコメントがつけられない状態になっていました。すみません。

さっき開放しておきました。よろしくお願いします。*1

*1:…でもコメント付かなかったらどうしようw

Shadowrun, Sixth World Developer's Review が掲載されました

http://www.shadowruntabletop.com/2019/05/shadowrun-sixth-world-developers-notes/

 

…というわけで、ざっと翻訳。

Shadowrun, Sixth World がやってくる!

ちょいまち。Shadowrun, Sixth World はまだ発売されてないって? でも僕はもう何年もこいつのことを考え続けてきたんだよ! 1年以上もプレイして来たしね! 他のみんながまだプレイしてないなんてどういうこと? ディベロップ期間って本当に混乱するよね。

 

その昔――具体的に言うなら6年前――僕は僕の目の前で Sixth Edition って単語を使った奴はみんな肉体的暴力で脅してやると言っていた(この脅しは通用しなかった。誰も僕のことを怖がったりしなかったんだ。ああ、本題から逸れてるね)。 Fifth Edition を作り出すのには相当な苦労があった。あれを丸まる最初からやり直すなんて、僕には考えたくもなかった。それから2~3年は、新しい版のことを考えずに過ごしたから、僕も充電することができた。実はこれ、全面的に真実というわけじゃない。というのも、僕がプレイするときにはいつも――製作中のものでなくても――新しい版の可能性について考えていたからだ。何がうまく行って、何が想定外の結果になるのか、そしてどこをどう弄るとどんな可能性が開けるのか、考えていた。だから次のシャドウランのことを心に描く時期が来たとき、僕には多少のアイデアがあった。それに、力を貸してくれる優秀なシャドウランのライターたちや、ゲームマスターたちもいたからね。

 

当然だが、こうしたすべてのアイデアには枠組みが必要だった。仕事に取り掛かるときに、シャドウランの第六版が持つべき品質として、この三つを決めた:

  1. 300ページ未満であること
  2. 六面ダイスのダイスプールを使うこと
  3. シャドウランらしいこと

最後の二つは関連している。何せシャドウランらしいゲームにするなら、大量のD6を振らない訳には行かなかったから。でもそれ以上に大事なこともある。戦闘のスペシャリスト、呪文使い、招霊術の使い手、アデプト、フェイス、デッカー、テクノマンサー、リガー、呪付術師、ウェポン・スペシャリスト、その他もろもろが存在してなきゃならない。そしてみんなが、意味のある違った形でランに貢献できなければならないんだ。

 

この版では、そのすべてが300ページ以内に収まっていなければならない。そこが難しいところだ。第五版は、目次を除いても466ページある。第四版の20周年記念ルールブックは351ページだ。第三版は(キャラクターシートを除いて)325ページ、第二版はちょっと薄くて284ページだけど、バイオウェアもテクノマンサーも錬金術も載っていない。その期間の間にいろいろ変わったものの一部だけを挙げてみても、こんな感じだ。そしてすべての始まりになったルールブックは、さらに薄い207ページだけど、第二版から追加されたものが載っていない。例えばアデプトや収束具がないし、銃なんてたった20種類しかない。何という異端具合だろうか!(ちなみに第五版には52種類、Shadowrun, Sixth Worldには53種類ある。選べる銃を減らしたりはしなかった)。これがどういうことかというと、基本ルールブックを整理して300ページに抑えるのは、容易じゃないだろうってことだ。

 

大事なことだけれど、単純に本のページ数を切り詰めたところで、それ自体は何の役にも立たない。どんな本でも、3ページに1ページずつ切り取ってしまえば、短くすることはできる。でも、それじゃあ本の意味がなくなる。本を短くして意味があるのは、そうすることでよりスムーズにプレイできるようになる場合だけだ。別の言い方をすると、僕らはゲームを短くしたいわけじゃない。僕らが求めているのは、意味のある選択肢を数多く与えた上で、もっと展開が速くて、もっと簡単に没入できるゲームだ。それと、僕らはこれを Shadowrun:Anarchy にはしたくなかった。すでに存在しているものだからね。Anarchy が示しているのは、Shadowrun, Sixth World よりももっとルールを軽量化した先にあるものだ。この両者の違いを理解する手段の一つが装備に関するルールで、Anarchyでは7~8ページほどだが、Sixth World では 50ページになる。前に、たくさんの選択肢が欲しい、って言ったよね?

 

とにかく、これはこういうことだ。もしルールが変わるのなら、プレイヤーたちがやりたい事をもっと手早くできるような方向性を持ったものであるべきだ。戦闘はより素早くするべきだ。ハッキングはよりスムーズで直感的にできるべきだ、魔法は術者のやりたい事に適応しているべきだ。などなど。じゃあ具体的にはどうかって? じゃあその例を挙げてみよう:

  •  エッジを拡張する: そう。ゲームを整流化するために僕らがしたことの一つは、エッジの機能をもっと具体的なものにすることだった。でもちょっと待って欲しい。エッジの定義が変わったんだ。今度のエッジは、危機に陥ったときに限界を超えさせてくれる何か、ではなく、対立のある状況下で君が得ているアドバンテージを累積したものを表す。君が戦っているとき、呪文を行使しているとき、ハッキングをしているとき、交渉をしているときに、ボーナス・エッジを使うか、得るチャンスがある。そして君は、エッジを使うべきだ。 Shadowrun, Sixth World では、普段からエッジを得たり使ったりしないなら、戦術を考え直さなければならなくなる。エッジの消費と獲得は、ゲーム内での他の多くの機能を代替するようになっている。状況修正値の計算や、反動と貫通、環境修正の管理などがそれだ。またエッジは、使うべきときに使ってキャラクターがインパクトを出すこともできる。
  • 動作の種類を減らす: 動作の種類はマイナーとメジャーの2つ。それだけだ! 君は 1ターンあたりマイナー動作を1つとメジャー動作を1つ行うことができる。さまざまな状況(反応力を高める身体強化や呪文など)で、さらにもう1つ、マイナー動作を得られる。1つのメジャー動作は4つのマイナー動作と交換できるし、4つのマイナー動作は1つのメジャー動作に置き換えることができる。
  • イニシアティブを簡略化する: イニシアティブのダイスを振るのは、その遭遇の最初に1回だけで、振り直すことはない。ただし、何らかの動作や影響によって、イニシアティブ値が変化することはありうる。
  • リミットは無くなった: リミットは能力値のバランスを取ったり、さまざまなルール上の効果を出す機会を与えていた。だが、この整流化されたルールセットでは、リミットの必要はなくなった。ほとんどのテストと呪文のフォースについて、リミットは撤廃された。
  • 技能リストを縮小する: 第五版には80の技能があったが、第六版では19だ。これは大きな違いになる。これは決定的な整流化だが、これにはキャラクターが似たり寄ったりになってしまうというリスクがある。その対策として、プレイヤーは技能の専門化(Specialization)を選択でき、さらにアップグレードとして特化(Expertise)を選ぶことができ、ボーナスダイスとして+2ではなく、+3を得られる。そしてある特化をしたなら、もう一つ専門化を選択できるようになる。これやキャラクターを真に際立たせるチャンスを与えてくれる。
  • マトリックスをさらに直感的なものにする: これは現在も追及を続けている目標だし、マトリックスでの活動をそれ以外のアクションと平行して起きるようにしようと試みるのは、いつでも楽しいものだ。デッカーには意義のある仕事があるだろうし、マトリックスに入り込んで、事を起こし、そして脱出する――当然、そのすべてを、抜け目ない GOD の監視の目を逃れながら行う手段が用意されるはずだ。

大きな変化はここまで挙げたとおりだが、ほんの触りに過ぎない。Attack Ratingも、防具の使い方も、知識技能についての変更も、改良された呪文デザインルールも、ヴィークルの新しい能力値も、サイバージャックも、さらにもっとたくさんのことにまだ触れていない。新たにやってくる変化がどんなものか、この記事からその雰囲気を感じ取ってもらえるよう願っている。そして君たちみんなが Shadowrun, Sixth World をプレイしてくれるのを、自分がプレイできるのと同じくらい、楽しみにしているよ! あと、5月の毎水曜日には、新しい情報を載せるから、ブログをチェックしてみてくれ。

 

5月1日:発表
5月8日:製品概要
5月15日:開発者からの概要説明
5月22日:設定の概要/ストーリーの発表
5月29日:開発者によるQ&A
6月5日:リガー向け書類(?)
6月12日: Shadowrun at ORIGINS プレビュー