さり海馬

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シャドウラン・ライン・デベロッパーのジェイソン・ハーディとのQ&A

www.catalystgamelabs.com

 

……というわけで翻訳しましたよ、と。

読みやすいようにちょっと体裁を弄り、改行を追加しています。原文は↑のリンクから確認してください。

 

シャドウラン・ライン・デベロッパーのジェイソン・ハーディとのQ&A

By レイ・アーラスティア

 

今週の Shadowrun, Sixth World 速報へようこそ! 今週の記事では、インターネットのあちこちのサイトを回って集めてきた Sixth World についての共通する質問を、シャドウランのライン・デベロッパーである Jason Hardy に投げて、答えてもらった。


質問:Sixth World では、第五版で見つかったいくつかの問題を修正しようとしているのか、それとももっと、シャドウランのゲーム全体を根本的に見直そうとしているのか、どちらでしょう?


回答:間違いなく後者に近い。ただ、全体の根本的な見直しだとは思わない。D6 を使ったダイスプールはあるし、同じ能力値を使う。それに多くの面が前の版と同じだ。ただ、第五版をちょっと弄るとか調整するだけにはしたくなかった。まったく新しい版にしたかったんだ。新しいコンセプトと以前とは違うフィーリングにね。それと、ゲームを整流化したかった。次の質問の話題がコレだね。


質問:Sixth World のルールを整流化する上で取捨選択をするときに、デベロッパーの皆さんは、他のゲーム・システムを参考にしたりしましたか?


回答:短く答えるなら「イエス」だ。もうちょっと長く答えると、私はゲームをたくさんプレイするから、いつも他のゲームから学べることを探している。特に、ダイスやダイスプールの調整の仕方について、どんな風にうまく計算しているのかに注目している。目標値を調整するとか、ダイスを増やすとか、ダイスの出目に+1するとか、ダイスを振り直すとか。このどれも、それぞれに違う効果があるし、ゲームをデザインする上で、その違いを理解するのは大切なことだ(能力値でいろいろ遊んでみるために、スプレッドシートを容易してるんだ)。


それと私は、ロールプレイング・ゲームにとって決定的に重要な一つの要素にも注目している。それはキャラクターに対して、意味のある選択の幅を与えるものだ。詳しい話はしないけれど、これをすばらしく上手にやっているゲームもあれば、キャラクターの行動には本当に狭い選択肢しか与えていなくて、たいてい1つか2つしか行動を選べないゲームもあった。私たちは前者になろうと考えた。


質問:Sixth World のルールを改訂するときに、デザイナーの皆さんが意見を貰ったのは誰ですか? そのシステムのプレイテストはどんな風にして、その結果どういう変更が発生したのでしょうか?


回答:大勢のみんなさ! デベロップの初期は、もっと色々模索する段階だった。僕らは新しいアイデアを得るために、毎日シャドウランの仕事にどっぷりと浸かっていない人たちと話をして、シャドウランをどんな風に違う形で再発明できるかの意見を聞いてみた。それとシャドウランの仕事をしているフリーランスの人たちにも話を聞いた。特に、シャドウランをみっちりプレイした経験について色々聞いてみた。
プレイテストはいくつかのフェイズを通して進んでいった(面白い話:コアになるテキストは、プレイテストの間に12回も更新を繰り返したんだ)。このプロセスの間に、僕はさまざまに違った人たちの中でプレイしてみた。カタリストのスタッフ、シャドウランのベテラン・プレイヤーたち、そしてシャドウランの初心者たち。シャドウランに関わっているフリーランサーたちは何度かプレイテストをした。初期段階にゲームの基本構造を決める必要があったからね。


その基本構造が定まったら、さらに広い範囲でプレイテストをした。僕たちには、スタッフでもフリーランサーでもないプレイテスターがたくさんいて、色々なゲームに参加してもらっている。その多くがプレイに参加してくれた。そのおかげで僕らは、新鮮な視点からこのゲームのルールセットを見ることができたし、それはこのゲーム開発の初期段階にも、SR5のルール作成にも関わらないものだった。


このプロセスで生まれた変更はたくさんある。いくつか例を挙げてみよう:

  • 最も初期のプレイテスト・ルールには、現在ではエッジの一部になっているものが、別のサブシステムとして存在していた。プレイテスターたちは、このすべてのシステムをエッジに統合できたら良いんじゃないかと思った。これは良いアイデアだった。
  • プレイテスト中には、キャラクターに幅を出しつつ、技能をもっと扱いやすく再編成するためのアイデアがたくさん出た。Specialization/専門化と Expertise/特化 のシステムはそこから生まれたものだ。
  • 初期のプレイテストの文書は、戦闘中にエッジを使用することを重視していた。使い道を広げようという意図だったが、プレイテスターたちはすぐに、エッジはゲームプレイの複数の分野に適応していくべきだと強調するようになった。
  • プレイテストは、ちょっとした変更をするのにも便利だった。ダメージ値、資質ごとのカルマ消費、呪文のドレイン値、その他もろもろがプレイテスト中に調整されていった。

質問:すべてのキャラクターのクラス用のソースブックが全部出揃うのはいつ頃になりそうですか? そういうソースブックが揃うまでは、コアルールに合わせて僕のキャラクターを「ダウングレード」しなきゃならないんでしょうか?


回答:戦闘用のソースブックが今年の末に出る予定だ。第五版と同じく、それ以外の主要な本は、開発と執筆が終わり次第、定期的に発行されるだろう。キャラクターを新しい版にコンバートするためのガイドを出す予定だが、合わせて2000ページ以上もある第五版のルールブックを一発でコンバートできるルールを出すことはできない。特に、第五版の最後のルールブックがまだ出ていないからね。だから僕は、そっちと Sixth World とを平行してやらなきゃならない。主要ルールブックを1年以内に出そうとしたら、他の仕事を全部止めても1年はかかる。それは無理な相談だよね!


質問:Missions が Sixth World 版のルールに切り替わるのはいつですか? そしてそうなったら、キャラクターは基本ルールブックにある範囲のものにリセットしなきゃならないの?


回答:すべてが計画通りに運んだら、最初の新東京 Missions は第五版と Sixth World 版の両方の能力値を掲載したものになるだろう。秋口くらいに出せるといいなと思ってる。つまり、Sixth World のルールで Missions をプレイするまでに、コンバートに使える時間が半年あるということだ。両対応がスムーズに行くようなら、それをさらに続けてもいい。


質問:リガーには何か変更はありますか。ルールだとか、ランへの関わり方とか? リガー用のルールブックは過去の版よりも早めに出たりしますか?


回答:うん。ヴィークルの能力値は大きく変更される。ある意味、ここはルールがちょっとだけ複雑になる箇所で、以前の版で使っていたような抽象化されたチェイスルールなしでヴィークルの移動を管理できるはずだ。マトリックスのルールも変更される。これとリギングのルールとをうまく合うようにしてある。ただ、それについてはここで触れられる範囲を超えているね。ドローンのリギングやヴィークルの操作から他のヴィークルやドローンを乗っ取ることまで、リガーにはやることがたくさんあるに違いないね。
リガーやその他の本が出るタイミングについては、今はまだ決まっていない。でも、いい機会だから言っておくけれど、リガー5.0が出たのは3年以上前だ。第五版のサイクルの半ばよりは前だったんだよ。


質問:Sixth World で技能の数が減るのを気にしている人たちに、何かお願いします?


回答:第一に、specialization と expertise の目的は、スキルセットを小さく保ったまま、キャラクターたちに出来ることを増やすことにある。これが便利で、キャラクター各人にそれらしさが出せるものになるといいと思ってる。第二に、最終的に君たちが第五版のように技能の数が多いほうが好みだというのなら、それはそれで構わない。かなり昔に、僕はシャドウランのどの版も、万人にぴったり合うようなものではないのだ、という一種の確信みたいなものを持つようになった。人の好みは十人十色だし、僕はこの Sixth World のルールやツールが、相当数のプレイヤー・グループに楽しんで使ってもらえることだけを願ってる。

 

質問:エッジについて、もう少し話してもらえませんか。第六版ではどんな風に変更されていて、それはなぜなんでしょうか?


回答:エッジが進化していったプロセスは、このゲーム全体の中でももっとも長く、もっとも細かいものだった。だから出来るだけ手短……めにまとめるよ。

ブレーンストーミングを経てルールを書き起こしたとき、最初に注力したのは戦闘についてだった。僕は戦闘のプロセス全体をもっとスムーズに運用できて、戦闘自体はもっと手早く解決できるものにしたかった。このプロセスを弄るためにたくさんのものを参考にしたが、最終的には、すべてが一つの問題に突き詰められていった:

ダイスプールの計算には時間がかかる、ってことだ。

いろんなところから修正値を拾ってこなきゃならないし、そのありかを全部覚えてなきゃならないし、値の大きさも忘れちゃならない。これを全部やるのは複雑だ。僕はこのプロセス全体を整流化したかった。

その最初のステップは、武器のすべての特性値を Attack Rating/攻撃値 という一つの値にまとめることだった。この値を攻撃対象の Defense Rating/防御値 と比べる。初期のシステムでは、この差が十分に大きければ、Chip と呼ぶものが得られる。これはその戦闘における有利さを累積させたものだ。この中には他の概念も入る。戦術上の優れた達成状況などがあれば、さらに Chip が得られる。

これをプレイテストしてみた結果、Chip システムとエッジがよく似ていることに気づいた。だから、ゲーム内に新しいポイントを持ち込むよりは、エッジを拡張するのがベストだと分かったんだ。この合体が終わったら、次の仕事はゲームシステム全体にエッジを導入することだった。だからデッカーも、フェイスも、リガーも、テクノマンサーも、影の世界で活躍するその他の誰もが、特定の行動でエッジを積み上げ、使うチャンスを得られるようになったんだ。

 

質問:基本ルールの整流化と、シャドウランのプレイヤーたちの多くが楽しんでいる複雑さとの間のバランスをどのように取っているのでしょうか?


回答:これは難しかったんだよ! 最終的には、これは優れたゲームのフレームワークを作るということなんだと思った。シャドウランの基本はシンプルだ。これから試みようとする行動に適切な技能を探し、その技能値と関連能力値とを足す。そしてその数のD6を振る。5と6の出目の数を数える。君たちはゲームマスターか別のキャラクターによって決められた目標値を突破しようとする。覚えるのは難しくない。

複雑なのは付属物の方だ。つまり最終的にはこうなる。基本ルールに付属物を載せすぎないこと。 Sixth World でのエッジの機能は、プレイヤーたちにゲーム上での効果のある選択肢をたっぷり用意しつつ、その効果を決めやすくすることだ。

 

質問:シャドウランをやり込んできたプレイヤーが Sixth World で遊ぶべき理由は何ですか?


回答:上達と挑戦のためさ! ゲームのルールは構造と限界を定める。プレイヤーたちは自分がクールだと思うことを、その構造の範囲内で引き出す。新しいキャラクターを作るときと同じように、新しいルールは新しい道具立てで何が出来るかを試すチャンスを与えてくれる。Sixth World では、戦闘はより速く展開し、スペクタクルな出来事を起こすチャンスももっと頻繁にやってくるようになる。

それに、第五版のルールブックが重たすぎて腰が引けているような人たちを、もっと簡単にゲームに引き込めるようになるかも知れないよ!