「柳生忍法帖(上)(下)」読了
- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/06/15
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実はずいぶん昔に一度読んでいたのだけれども、内容をほとんど忘れていた。最近これを原作にしている漫画*1の連載が始まったことに影響を受けて読み返すことにしたものだ。
超人的な武術を用いる武芸者集団に対して、復讐を遂げようとする武家の女七人*2。所詮蟷螂の斧でしかない彼女たちを義によって助ける柳生十兵衛。しかし十兵衛自身が手を下すことはできない。あくまで彼は女たちの復讐を助けることしかできない理由があったのだ…。
って感じで。純粋に活劇として面白かった。(甲賀忍法帖や魔界転生みたいな)いわゆる忍法帖的なドロドログチョグチョした粘液質な忍術比べみたいなものはほとんどないのだけれども。正面きって戦ったら確実に負ける、という条件下での騙し合いや、飄々と登場する沢庵禅師の天才的な兵法など、ぐいぐいと読ませる魅力がある。
主人公である柳生十兵衛の人物造形も魅力的。愛刀三池典太を手にすれば*3反則と言えるほど強いくせに、女心の機微がまったく分かっていないため、仲間の女たちの行動にいちいち振り回されている姿が、読者の妙な共感を呼ぶ(笑)。
上下巻あるので量が多いように見えるが、読み始めるととまらないのですぐ読み終わってしまう。お勧め。