さり海馬

Thoughts walk away, blog stays.

特許を読み易くする


難解な特許文書を読みやすいように表示します──NTTデータは、自然言語処理技術を活用し、特許文書を解析して視覚的に表示したり、類似特許検索のためのキーワードを抽出することができる新技術を開発した。

…激しく欲しい。一応メーカーで技術者の端くれとかやってるとですね、日々特許を読まなきゃならんわけですよ。他社が出してきた特許に対して「これはヤバイです。うちの製品でも使っちゃってますよ」とか「ああ、これはうちのあの特許で潰せるな」とか報告するわけ。結構これが面倒。

ご存知ない方のために簡単に説明すると、特許の文体って、非常に特殊で実にわかりにくくなってます。例えば:


【特許請求の範囲】
1.既存の第1のウインドウ又は分割ウインドウ内にカーソル及び第1のオブジェクトを表示し、かつユーザのカーソル制御装置の操作に応答する表示ウインドウ制御手段に関連する、コンピュータで制御された表示システムにおいて、その改良された部分が、(a)第1のアイコンと、カーソルによる第1のアイコンの動作に応答して、ユーザによって選択された既存の第1のウインドウ又は分割ウインドウ内で選択されたオブジェクトのデータ内容を表示する第2の新しい分割ウインドウをディスプレイ上に生成する第1の手段を含む前記ウインドウ制御手段を含む前記システム。

みたいな感じ。さっぱりわけわからんですよね。要はこれ、よく見かける「ディレクトリっぽいところにあるフォルダっぽいアイコンを触ると、その下位の階層にあるディレクトリとか作業メニューみたいなもんとかがウィンドウになって出たり引っ込んだりするインターフェイス」の特許なんです。

何でこんなに曖昧に書くかというと、曖昧な方が広い範囲を権利として押さえ込めるからなんですね。「フォルダ」って書くよりは「オブジェクト」って書くほうが曖昧で、広い。どっかの製品が同じようなことをしていたとして、そいつに文句を言いいたい場合、「フォルダ」って言葉を使って権利を主張しようとすると「これはフォルダじゃないです。階層メニューです」って言い逃れられちゃう。そこで「オブジェクト」っていうすごく曖昧な言葉を使う。「階層メニューもオブジェクトですよ」って言えるように。

その結果として、特許の文章ってのは思いっきり曖昧で、具体的に何のことをさしているのかがわかりにくいんですね。

そんなわけで、そういう文章を読むのは非常に苦痛。このニュースにあるソフトは、そういう曖昧な表現を整理して、どの言葉がどの言葉にかかっているのかとか、大まかにどういう構成なのかを図解してくれるので、理解しやすくなるというものです。

これがあると、毎日の特許読みも多少は楽になるのかなぁ。