さり海馬

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カーボンオフセット年賀はがき

…という耳慣れない言葉をニュースで読んだので。早速調べてみた。


国民的行事で地球温暖化防止を啓発し個人レベルで京都議定書マイナス6%に貢献

日本郵政公社(所在地:東京都千代田区霞が関 総裁:西川善文)では、平成20年用寄附金付お年玉付年賀葉書のひとつとして「カーボンオフセット年賀」の発行を決定しました。この「カーボンオフセット年賀」は、寄附の目的を「温室効果ガス削減への貢献」に限定した寄附金付お年玉付年賀葉書で、目的を限定して寄附を行う寄附金付お年玉付年賀葉書の発行は、今回が初の試みとなります。

販売価格は55円で、そのうち5円が寄附金となり、この寄附金は、地球温暖化防止を推進するプロジェクトを支援し、京都議定書で定められた日本の温室効果ガス排出削減目標である「マイナス6%」に貢献します。

中略

なお、皆様からお預かりした寄附金の配分先は、有識者会議を設け配分先案を策定し、総務省の認可を経て決定いたします。有識者会議の開催議事録、寄附金の総額、貢献内容等も情報開示を行ってまいります。

よくわかんないけど、寄付金つき年賀はがきで、その寄付金は「カーボンオフセット」という仕組みを使った二酸化炭素排出削減をするためのしかるべき団体に寄付されるのね。

で、カーボンオフセットって何よ?


カーボンオフセット(carbon offset)とは、人間の経済活動や生活などを通して「ある場所」で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業などによって「他の場所」で直接的、間接的に吸収しようとする活動の総称であり、吸収した二酸化炭素の量で発生した二酸化炭素の量を相殺し二酸化炭素の排出を実質ゼロに近づけようという発想がこれら活動の根底に存在する。「(カーボンオフセット:carbon offset)」という言葉も、「二酸化炭素(カーボンダイオキサイド:carbon dioxide)を相殺する(オフセット:offset)。」という上記の発想に含まれる単語に由来している。

なるほど。自分のところで二酸化炭素を出さないようにするんじゃなくて、他所で二酸化炭素を吸収させるか、他所の二酸化炭素排出量を減らさせる、というコンセプトなのね。植林事業とかやるのかな?

いやちょいまて。さっきの郵政省のプレスリリースを読んでいくと、こう書いてある


そこで、ヨーロッパを中心に急速に広がっているのが「カーボンオフセット」という考え方です。「カーボンオフセット」とは、自らの努力だけではどうしても削減しきれないCO2などの温室効果ガスを、地球温暖化防止を推進する世界各地のクリーンエネルギー事業などを支援し、CO2を削減することにより打ち消す(Offset)仕組みのことです。

世界各地?日本の排出量削減なのに、どうして世界各地が関係あるんだ?

そう思ったら、さっきのWikipediaに書いてありました。よく読め俺。


間接的な二酸化炭素削減によるオフセット

京都議定書で定められた「クリーン開発メカニズム:clean developement mechanism(CDM)」などを通して、潜在的二酸化炭素を多く排出する途上国の設備を先進国の削減技術を用いて改良し、排出する二酸化炭素の量を減らす。この減らした分の二酸化炭素の量によってオフセットを実行している。

「クリーン開発メカニズム」という仕組みを使う? もうちょっと調べてみる。どんな仕組みだ?


クリーン開発メカニズム
クリーンカイハツメカニズム 【英】Clean Development Mechanism [略]CDM

解説 |
京都議定書に規定される柔軟性措置のひとつ。京都議定書第12条に定められ、「京都サプライズ」といわれる革新的な手法。同じく柔軟措置のひとつである「共同実施」に似ているが、発展途上国(非付属書I国)におけるプロジェクト投資を管理するものである。なお、同議定書には「排出量取引」「共同実施」と合わせて、3つの柔軟性措置が規定されている。
具体的には、先進国と途上国が共同で温室効果ガス削減プロジェクトを途上国において実施し、そこで生じた削減分の一部を先進国がクレジットとして得て、自国の削減に充当できる仕組み。なお、このとき先進国が得られる削減相当量を「認証排出削減量(CERs)」という。
具体的なルール作りが難航したが、2001年11月にモロッコマラケシュで開催されたCOP7で、運用に関するルールが決められた(マラケシュ合意)。

ははあ、分かったよ。つまりこういうことね。

  • 俺の国(先進国)は結構がんばって二酸化炭素排出を減らしたけど、そろそろここから先は頭打ちだなぁ
  • 君の国(発展途上国)はまだがんばる余地が結構あるよね
  • じゃあさ、俺が金と技術で協力するから、君の国の排出量を減らそうよ。その代わりと言っちゃなんだけど、減った分のいくらかを俺の国で減らした分ってことにしないか?
  • 俺は削減目標に近づけるし、君は格安で排出量減らせるし、地球全体的にも排出量が減るし、いいことずくめじゃん。俺天才。

そんなわけで、ここに来て、やっとこの年賀はがきの全体像が把握できたよ。まとめると

  1. 俺たちがこの年賀はがきを買う
  2. 1枚あたり5円の寄付金が集まる
  3. 集まった寄付金は、有識者会議の提案と総務省の決定に基づいて、しかるべき団体に寄付される
  4. その団体は他所の国でその資金(と提供技術)を使ってその国の{二酸化炭素排出量を減らす|二酸化炭素吸収量を増やす}
  5. そうやって減った分の一部が、「日本が削減した分」として算入される。つまり日本の手柄。(クリーン開発メカニズム)
  6. 日本ウマー

なんだね。4 と 5 んところがよく分かってなかった。あーすっきりした。

ところで。

年賀状なんかメールで済ませたほうがよっぽど二酸化炭素削減できる

ってことは言ってはいかんのかね。