さようなら
私には生年月日が数週間しか違わない同い年の従兄弟がいました。5歳ぐらいになって私の家が引っ越すまではすぐ近くに住んでいて、毎日日が暮れるまで(あるいは日が暮れても)一緒に遊び、まるで兄弟のように育ちました。
とは言うものの、幼馴染の常というか、成長するに従って徐々に疎遠になり、ここ20年ほどはほとんど連絡も取っていませんでした。自分でもよくある展開だなとは思います。
その従兄弟の遺体を、昨日、見届けてきました。
長く患った末の病死でした。彼は自分の病状を親戚には隠していたらしく、私はほぼ彼の死が確定した時点で初めてそのことを知りました。
葬儀を控えた彼の顔を見たとたん、私は後から後から涙があふれて止まりませんでした。20年間も付き合いが無い相手でしたから、割と冷静に見送れるのではないかと思っていたのですが、なぜかは分からないまま、みっともないくらいの涙を流している自分にちょっと驚きました。
うまく言えないのですが、なんだかひどく大事なものをしまっておいたまま忘れてしまって、ひさしぶりにそれを探そうとしたら、無くしてしまっていたことに気づいた、みたいな喪失感があります。勝手な話ですね。
さようなら
さようなら
ぼくのともだち
いっしょにあそべてうれしかったさようなら
さようなら
ぼくのともだち
いっしょのおやつはおいしかったさようなら
さようなら
ぼくのともだち
おわかれがいえたならよかったけどさようなら
さようなら
ぼくのともだち
ぼくはもうかえらなきゃさようなら
さようなら
ぼくのともだち
いっしょにあそべて
いっしょのおやつで
ほんとに
ほんとに
うれしかったんだ
さよなら。ちゃーちゃん。