さり海馬

Thoughts walk away, blog stays.

強化現実とか仮想現実とか

「オーギュメンテッドリアリティと電脳コイル研究会」という会合にに参加された方の、写真入りレビューです。

面白かったのは、関連事項として語られたテレイグジステンス体験。センサーとマニピュレーターのついたロボットを、そのロボットの視点でコントロールする実験をしたときのお話。


実際にそのコクピットに座り、HMDを頭からかぶり、マニピュレータを操作して積み木を積み上げる、という一連の動作は全く訓練なく体得できるというところまでは、本当に良く出来た遠隔操作に過ぎなかったそうです。

変化が起きたのは、若き日の先生である被験者が、ふと「右がわのコンピュータはどうなっているんだろう?」と思って振り返ったとき。

ふっ、と振り返ると、そこになにかへんてこな器具を被った人間がいる。

「あ、あれは自分なんだ」と気付くまでに2秒くらいはかかったと言います。

ああ、こうなると自分の肉体も他人の肉体も変わらないな、と思ったんですが。

遠隔手術ロボットというものはすでに存在します。コックピットに頭を突っ込んだ術者が、手術台の上に乗っかっている患者をマニピュレーターやセンサーを使って手術する。遠隔手術っていっても、やっぱ信号遅延とかの関係もあるのか、すぐそばで操作しているみたいですが。

この先技術が進歩して、コレを仮想現実で行えるようになったら、「自分の身体を自分で手術」ってのが割りと簡単に出来るようになるかも知れないな、と。

自分手術といえば有名なのがあの「ブラックジャック」ですが、あれって鏡使ってましたよね。テクノロジーが進歩すると、そういう離れ業もあまり問題じゃなくなりそうだな、と。

必要な部分だけ麻酔しておいて、自分は手術台に乗っかっている。脳とロボットは無線でリンクしていて、必要な画像や操作情報を相互に通信できる。局所麻酔なので意識はなくならないから、他人を手術するのと同じように自分も手術できる。

ああ、それに技能がそれほど問題じゃないような、作業的な手術であれば、一度に複数の患者を手術することも可能になりそうですね。将棋の名人がお弟子さんを5人並べて同時に打つみたいに。

あと、米軍もやる気みたいですね。


国防総省は、手術ロボットを搭載した無人搬送車『トラウマ・ポッド』の開発のために、1200万ドルの研究資金を提供する。戦場でロボットを用い、負傷した兵士に、切開から縫合に至るまでの完全な手術を施すことが目的だ。

研究者たちはフルカラーで効果音も盛り込んだ未来的な「コンセプト・ビデオ」を用意し、無人搬送車が搭載するロボットが敵の砲火の中で負傷兵の手術を行なった後、戦場からその兵士を退避させる様子を映し出した。

戦場でこうしたプロジェクトが実現するのは、少なくとも10年は先の話だ。とはいえ初期的な技術の一部は、すでに病院で使用されている。今回 1200万ドルを投じて行なわれる初期段階のプロジェクトの目標も、それほど野心的なものではない――ロボットの遠隔操作手術によって、ブタの2本の血管を縫合できることを示すというものだ。

この1200万ドルの初期資金は、米国防総省の国防高等研究計画庁(DARPA)が提供する。DARPAが資金を出すものとしては、他に例のない類の医療プロジェクトだ。

むぅ、「法外な報酬を求めるが超絶的な腕前の外科医。その行く先々で起こる人間ドラマ」みたいな話はやりにくくなりそうだな。下手すりゃ一度も登場しないぞ、医者(笑)。ああ、その代わり、「どんな重傷者でも見事に助ける遠隔軍医。だれもその正体は知らない。それもそのはず、実は…AIだったのだ!!」みたいなのはアリか。