さり海馬

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宇宙からお茶選び

人工衛星の目でおいしい茶葉選び――。上空約700キロから撮影された宇宙航空研究開発機構JAXA)の衛星画像を解析して、茶葉に含まれるうまみ成分を測る試みが、佐賀県嬉野市で進められている。佐賀大やJAさがなどが、JAXAとの共同研究事業「宇宙オープンラボ」で手法を開発。最もおいしいとされる茶葉は「衛星の恵み」の銘柄で売り出されている。

開発の中心は、佐賀大理工学部知能情報システム学科の新井康平教授(60)。衛星のセンサーが発する波長0.75?1マイクロメートルの近赤外線を、茶園の上空から撮影した画像上で赤く表示させたところ、茶葉に窒素の含有量が多いところほど赤が濃くなった。

窒素の含有量が多い方が、アミノ酸の一種テアニンの含有量も多い。それに加えて食物繊維が少なければ、うまみと甘みに富む「生き生きとした茶葉」になるという。

「窒素分を多く含む茶葉」を探すためならこの手段は正しい。でも、それは必ずしも「美味い茶葉」を選ぶことになっているかというとちょっと疑問。以下に理由を挙げる:

  1. 茶葉の含有する窒素のほとんどはテアニンになって蓄積されている。テアニンはうまみ成分なので、窒素が多い茶葉はうまみ成分も多い(…ここまではいい)。
  2. テアニンは光に当たるとカテキン*1に変化する。このカテキンにも薬理作用があっていい感じな物質なんだが、これ、実は「渋み」の成分。だから「窒素が多い茶葉」には渋味成分も多く含まれていることになる*2
  3. 茶葉の旨みや風味の成分は、摘んだ後の処理方法で大きく変化する。

*1:昔はまとめて「タンニン」と呼ばれていたものの一つ。最近ではこの呼び方はあまり使わないらしい

*2:だから、玉露のような「旨み成分の塊」みたいなお茶は、日光に当てすぎないように覆いをして育てる