さり海馬

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Shadowrun 5th Edition 無料プレビュー#6 公開中-解説1


すでに製品版のPDFが出ていますが、いつの間にかプレビュー6が出ていたので、こっちも解説してみましょう。いよいよマトリックスの章ですよ!

全面的に変更されたマトリックス

「自由でオープンなマトリックスは、あんま嬉しくない」と気付いたメガコーポ各社は、マトリックスプロトコルを刷新しました。これに伴って、マトリックスの仕組みそのものが大きく変わりました。まず設定面から、一番大事なことを、出来るだけ簡単に書いてみます。

マトリックス」と「グリッド」の明確な分離

これまでも、マトリックスとの接続はグリッドを介して行われる、みたいな設定はありました。ただ、ルール上ではあまり有意ではありませんでした。しかしSR5では、明確に規定されています。

マトリックスは、世界中のノードやサービスをまとめた、総体としてのネットワークです。2013年の環境で言うなら、「インターネット」そのものと言ってよいでしょう。

一方グリッドは、そのインターネットとの接続網のことです。ユーザーは必ずこのグリッドを介してマトリックスに接続します。グリッドにはさまざまな種類があって、グローバルなもの、地域限定してサービスを提供しているもの、有償のもの、無償のもの、などあり、それぞれ特徴があります。2013年の環境で言うと「プロバイダの通信網」にあたるでしょう。OCNぷららが別の会社であるように、各グリッドは互いに独立しています。


グリッドは常に監視されている

企業法廷と、その所属機関である「グリッド監査局(GOD)」は、マトリックスとの接続点であるグリッドを掌握しました。GODはあらゆるグリッドに下部組織として支局(demiGOD)を持っています。demiGODは、担当するグリッドの通信内容を自動的に監視するシステムを持っていて、一定の範囲を超えた怪しげなトランザクションを検出することが出来るようになっています。

不正操作が検出されると、demimGODは自動的にその発信源を探知し、不正操作者の居場所をマトリックス的・物理的の両面で特定します。マトリックス的には、対象となる接続を遮断するか、Gメンと呼ばれるネット警官がハッカーに対処します。物理的には、不正操作者の居場所に警備員が送り込まれます。

残念ながら、(少なくとも今見られる設定の範囲では)demiGODに監視されていないグリッドは存在しません。つまり、あらゆる接続は監視の対象ということになります。ハッカーは常に首根っこを押さえられた状態で、いろいろな離れ業をこなさなければならないのです。

そして、そのために必要とされ、再び戻ってきたのが「サイバーデッキ」なのでした。

Shadowrun 5th Edition 無料プレビュー#6 公開中-解説2


マトリックスの基本外観

SR5では「マトリックスの景色」が明確に定義されました。

  • 基本は、どこまでも続く暗い平面と、その上空に広がる暗い空
  • 空の景色は常に同じ。見上げれば、さまざまな形、大きさの「ホスト」が、さまざまな高さに浮かんでいる
    • 重要度・影響度が高いホストほど大きく、高度が高い
    • 形状はそのホストのオーナーが自由に指定する
    • 大きさと高度はGODによって管理されている

マトリックス上に存在するもの

マトリックス上には以下のものが存在します。

  • ペルソナ
  • バイス
  • ファイル
  • ホスト
  • マーク
ペルソナ

これは従来同様、使用者とその接続機器の能力とが融合したオブジェクトです。新マトリックスプロトコルでは、ペルソナは「何となく人っぽい形をしてなければならない」と規定されていて、その大きさはドワーフからトロールサイズでなくてはなりません。

バイス

バイスは物理空間上に存在する機器を表すオブジェクトです。新プロトコルでは、デバイスは「何となくその機能を表していなければならない」と規定されていますが、その制約はペルソナに対するほど厳しくはありません。そのサイズはペルソナより小さいと規定されています。

ファイル

ファイルはマトリックス上のデータファイルを表すオブジェクトです。中身はどんなデータでもよく、基本は多面体や立方体の姿をしています。ただ、たいていは、作った人がその中身を反映した形状に差し替えています。テキストなら本や書類、音声ならスピーカー、みたいな。サイズはペルソナの掌サイズということになってます。

ホスト

ホストは従来のルールでいう「ホスト」とは大きく違ったものになっています。SR5で言うホストとは、マトリックスと接続されている特定の領域、とでもいうべき代物です。MCTのホスト、アトランティス財団のホスト、などというように、それぞれ独立して存在します。ドメインと言ったほうが分かりやすいかも知れません。

この境界の内側は、そのホストの所有者が定めた基準で仮想空間が構築されており、マトリックスの一般法則は通用しなくなっています。つまり、ハッカーにとって、ホストの中は完全にアウェイの環境になります。また、マトリックスから見た大きさと、ホスト内の広さとは直接関係がありません。外から見た目よりも中の方が広いことがほとんどです。

ホストは、マトリックスの仮想空間の空に、さまざまな大きさ、さまざまな形状、さまざまな高さで浮かんでいますが、基本的にはペルソナより大きいと考えていいでしょう。

マーク

マークとは、MARK : Matrix Authentication Recognition Key - マトリックス権限認証鍵とでも言うべきもので、SR5でまったく新しく導入されたオブジェクトです。

これはペルソナが他のオブジェクトに対して「貼り付ける」もので、この「貼り付け」を行うことで、そのオブジェクトに対してアクセスできるようになります。

合法的にには、この「貼り付け」は、

  1. オブジェクトがペルソナに「招待」を出す
  2. それを受けたペルソナが、そのオブジェクトにマークを「貼る」

という手順で行われます。

貼り付けられたマークの数によって、アクセス権限が異なり、そのオブジェクトに対して実行できるマトリックス動作が違ってきます。最大数は4。4つ持っていると、そのオブジェクトの「オーナー」となり、何の制限もなく操作できます。

つまりハッカーは、いかにして不正な手段でオブジェクトにマークを貼り付けるか、ということに腐心することになります。

マークはペルソナと関係した形状をしているよう、プロトコルで定められています。たとえば、ペルソナがカウボーイならマークは焼印、古典映画の美人女優ならキスマーク、といった具合です。

とりあえず、こんなところで。