「イリヤの空、UFOの夏」読了
全四巻だが比較的短期間で読み終わった。まぁ確かにその前が「ハイペリオン」だったから、言ってみればトレーラーから原チャリに乗り換えた時のようなものか。
設定や発想そのものはそれほど飛びぬけたものではないが、文体の疾走感が心地よい。多感な年頃の主人公の目線から見た、その年頃の誰もが持っている「世界を敵に回して戦ってるような感じ」が繊細に描かれている。*1
基本的には a boy meets a girl で run away な訳だが、相手の少女がまぁ、なんだ、言うなればエヴァの綾波っつーか(身も蓋もねぇな>俺)。
設定はともかく。
さすがにこの年齢になると、ライトノベルといわれるカテゴリに属する本を読んでいると、苦笑いをしてしまうことが多い。それは、『自分にもそういう覚えがある』という気恥ずかしさだろう。「うっわー、青い。300km離れても青くせえよ!」って目を背けたくなるのは、そのへん。
あ、そうそう。年齢と言えば。むしろ私の感情移入は主人公たちへではなく、その周囲の大人たちへと向いてしまっているのに気づいたのは発見だった。それが歳を取るということなのだろう(笑)。
SFとしてより、ジュブナイル小説として評価したい一作でありました。面白かったし、なんか新鮮でした。お奨めしてくれたid:pipechair氏に感謝。
- 作者: 秋山瑞人,駒都えーじ
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2003/08/01
- メディア: 文庫
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*1:もちろんその戦いは決して勝利を収めることはないわけだが。