さり海馬

Thoughts walk away, blog stays.

「日本はなぜ敗れるのか」読了

第二次大戦での日本軍の敗因を独自の視点から分析し、その敗因が正しく反省されず、今だに活かされていないことを論じた本。

本書では、日本軍が敗れた理由を「もともと勝てる見込みの無い戦争を始めてしまったこと」とばっさり切り捨てた上で、更に21か条の形で、より分かりやすく敗因をリストアップしている。

乱暴を覚悟の上で、それを私なりに一言で言い切れば:

  • 「こうであらねばならないからこうだ」的な思い込みと、それを絶対視したいがために異論を認めないという非科学的・非合理的態度

だと思う。これは現在もよく見られる光景だ。例えば:

  • 納期が●月●日なので、その間に合わせなければならない。無理は承知だがやれ!、と怒鳴る上司

とかね。これに対して、理詰めで出来ない理由を説明しても「話は聞いた。だがやれ」とだけ言って、具体的な打開策についての議論を全くしようとしない、とか、その上讒言した人に向かって「敗北主義者」みたいなレッテルを貼って貶めるとか。*1

読んでいて、どんどん薄ら寒くなってくる。実際、敗戦から何も学んでないのではないかという恐怖がひしひしと。

注釈の入れ方が悪くてちょっと読みにくいけど、お暇なときにでも一度読んでおくことをお奨めします。むひー。

*1:達成のために様々な方策を考え、実施しようとすることは大切。それをやった上でも打開策が見つからなければ、撤退を視野に入れるのも重要というお話です。何もせずに最初から出来ないと言うのとは違います。