「黄昏の岸 暁の天」「華胥の幽夢」読了

黄昏の岸 暁の天 十二国記 (講談社文庫)

華胥の幽夢 十二国記 (講談社文庫)

主人公をいじめることにかけては、小野不由美は非常に巧みだ。特にその主人公が独善や思い込みに基づいて誤った行動をとっている場合、そのいじめ方は苛烈を極め、ある種陰湿ですらある。で、だいたいこのシリーズに登場する主人公(や、準主人公)は、最初のころ、必ずなにか鬱屈した状態になっていて、作者にいじめられる(笑)。

もちろんこれが、やがてたどり着く主人公の気付きと、それから生ずるカタルシスへと繋がっていくわけで、いかにここで精神的にいじめておくかが、物語上大切なんだと思うよ、うん。

なんかね、橋田ドラマを連想するよ(ファンの人、すみません。怒らないでください。日和見読者のたわごとですから)。

「黄昏の岸〜」は長編で、多分続く。「華胥の幽夢(かしょのゆめ)」は短編集。この中ではタイトルに繋がる「華胥」が印象的だった。我と我が身を振り返るよ。

一応これで、文庫本として出ている十二国記は読破したことになるのかな。次が早くでないかなぁ、と思う。ちょっとさびしいかな。