さり海馬

Thoughts walk away, blog stays.

好奇心の赴くまま…

特に目的を持って調べるんじゃなくて、百科事典をぱらぱらめくるみたいにして、いろんな事柄を辿って調べ回るのって楽しい。みなさん、そういうことしませんか? 私はよくやるんですが。

今週号のイブニングでミモレットというチーズが紹介されていた。ダニを使って熟成させるというフランスのチーズだそうだ。名前に聞き覚えがあったので、ちょっとぐぐってみたら、例の森・前総理に出された「干からびたチーズ」のことだった。

それはともかく。「ダニで熟成」ってのはすげえと思ったので、ちょっといろいろ調べてみた。

まず、「ミモレット+ダニ+熟成」で調べる。どうやら元々はエダムチーズだそうで、これにわざわざダニをつけて熟成させるのだそうだ。ダニがついている表面は硬いので、削り落として食べるのが普通。まかり間違ってダニなんか食べたら体に悪いんじゃないかと思ったりもしたんだけど、どのサイトも「このダニは無害」と書いてある。まぁ確かに蛆チーズとか青カビチーズってのもあるくらいだからな。その程度じゃ大したことないのか、と納得する。

ミモレットは古いものほど価値が高くて、オールドミモレットといわれるのだそうだ。で、そのオールドであることの証左として、この「ダニのついた表面」を見せるのが、正直な商売のやり方なんだと。そういうものは、よく観ると表面がちょこちょこ動いているらしい。うわ。表面を切り落としてパック売りされているようなものは、本当にオールドとしての価値があるか、消費者は知ることができないと言っている。ほほう。ダニ重要ですな。

チーズは切り上げて、ダニに移る。

ダニ。「ミモレット+ダニ」で検索してヒット。こいつの名前は「シロン」というのだそうだ。シロン…。

ミモレット+シロン」で検索すると、横浜の検疫所からの報告書がみつかった。「検査でアシブトコナダニを見つけたけど、ミモレットにつくというシロンって奴かも知れない。でもシロンの学名が分からないから判断できないよん」と書いてある。

じゃあ俺が調べてやる(笑)。《ここで今回の流れが決まりました(笑)》

ここからは日本語を捨てて、外国語で検索する。まず「ダニ」に相当する単語を、アルクの英二郎で調べる。tick もしくは mite だ。微小なのは mite のようなので、こっちを使用する。

「mimolette + mite」で検索すると、こいつのスペルが ciron であることが分かった。次は「ciron + mite」→英・仏翻訳辞書でmite du fromage / cheese miteとなっている。『チーズのダニ』コレだ。

学名は scientific name なので、今度は「cheese + mite + scientific」で検索。一発ヒット。こいつの学名は「Acarus siro L.」だ。

さて、ここで日本語に戻って、「アシブトコナダニ+学名」を調べてみる。すると「アシブトコナダニ / Acarus siro」がヒットしますた。一致です。

結論:ミモレットについているシロンはアシブトコナダニです。

補足:アシブトコナダニはアレルゲンになりますので、「ミモレットに付着しているシロンは無害」というのは、必ずしも正しくありません。アシブトコナダニのアレルギーを持っている人が、ダニのいる状態のミモレットに接すると、アレルギー症状を起こすでしょう。

参考:そんなシロンさんのお姿はこんな感じ→画像1画像2

…ふぅ、気が済んだ。

追記:2000年の市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書(平成12年3月16日) の報告書によると、アシブトコナダニは、検疫対象に指定されていたようです。今もそうなのかどうかは分からないんですが、いろいろなところで「ダニ付き」が売られていることから考えても、検疫対象から外れたのかも知れません。そろそろ集中力がなくなってきたので、このへんで。