さり海馬

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Vehicle Control for Dummies:02 ヴィークル制御

control

Photo by Kammerin Hunt on Unsplash

 初めに

"VC4D: Vehicle Control for Dummies"はシャドウラン 5th Editionでのヴィークル制御関連の説明をする記事です。

今回は第02回ということで、ヴィークル制御の三つの種類について説明していきます。いよいよリガーっぽい雰囲気が漂ってきていますが、実はこの部分はリガーじゃない人も普通に使います。「俺はリガーやらないからいいや」という人も、ちょっとヴィークルを使いたい(でないと命にかかわる事態だ)みたいな時のために、覚えておくといろいろと便利です。

なお、今回は少しルールについて詳しめに書いています。必要な情報がルールブックのあちこちに散らばっているため、ただ「~参照」と書くだけではわかりにくいと考えたためです。ルールブックを持っている方を前提としている点は変わりませんが、あらかじめご承知おきください。

質問、指摘事項などありましたら、コメント欄へお願いします。

ヴィークルの制御

ヴィークル(以降、特にドローンに言及する必要がある場合を除いて、ヴィークルとだけ表記します)を制御する方法には3つの種類があります。それぞれについて簡単に説明します(→SR5, p.269 『完全なコントロール』)。

  • 手動制御
  • 遠隔制御
  • 自動制御

実はもう一種類ありますが、それについてはまだここでは触れません。まずは基本となるこの三つについての説明をして、それとの差異を示す形で別途記事にする予定です。

手動制御

manual control

Photo by why kei on Unsplash

manual control


手動制御は昔ながらの、あなた自身がヴィークルに乗り込み、そのハンドル(だか操縦桿だか)を操って操縦するやり方です。搭載武器を用いる場合は、実際にその武器を直に操作することになります。

当然ですが、ヴィークルはあなたの行動手番で動きます。

基本的にあなた自身の能力値と技能でテストを行いますが、ヴィークルの性能の影響を受けます。
操縦:【反応力】+〈適切な操縦技能〉[操縦値]
武器:【敏捷力】+〈砲術〉[武器の精度]
知覚:【直観力】+〈知覚〉[精神]
隠密:【反応力】+〈忍び歩き〉[操縦値]

※なお、ヴィークルで隠密行動をとる場合、〈忍び歩き〉技能のレーティングは使用するヴィークルの〈操縦〉技能のレーティングを超えられません(→SR5, p.183 『センサー攻撃』)。

上記の「武器:」部分のテストは、本人の能力だけで搭載武器を使う場合のものです。これとは別に、ヴィークルのセンサーが備えている照準支援機能を使って攻撃することもできます。これを「センサー攻撃」と呼びますが、これについては別途まとめます。気になる方は SR5, p183 『センサー攻撃』を参照してください。

必要な機器は、ヴィークル以外には特にありません。

これを行うために必要な権限は特にないと思いますが、ヴィークルに乗って動かすには、きっと我々が言うところのカギに相当する認証権限(たぶん、所有者かパワーユーザー)が必要と考えるのが妥当でしょう。

ルール上、明確には定められていないので、そうした状況(盗んだバイクで走り出すととか)では必要に応じてGMが判断してください。

遠隔制御

remote control

Photo by Sean Do on Unsplash

remote control


遠隔制御はコムリンクを通じて行うマトリックス経由のリモコンのようなものです。あなたはARやVRでセンサー越しにそのヴィークルの周囲の状況を見ながら、手元の操縦手段(たいていはAR/VR上の仮想コンソールか何かですが、物理的なゲーム・コントローラーでも構わないでしょう)でヴィークルを制御します。

ほぼどこででもマトリックスが使えるこの世界ならではの制御方法ですが、ルール的にも考慮すべき要素がもっとも多い、少し注意を要する方式です。がんばりましょう。

ゲームのルール上、この制御はマトリックス動作「機器を制御する」として取り扱います。ヴィークルはあなたの行動手番で動きます。

基本的にあなた自身の能力値と技能でテストを行いますが、使用しているコムリンクとヴィークルの性能の影響を受けます。

特に大事なのがコムリンクの【データ処理】です。【データ処理】は遠隔処理で行うマトリックス動作すべてのリミットの上限*1になります(→SR5, p.240 『機器を制御する』)。

また、本来のリミットが【データ処理】より低い場合は、低い方を適用します(要するに、どちらか低い方の値がリミットになります)。

操縦:【反応力】+〈適切な操縦技能〉[操縦値とデータ処理の低い方]
武器:【論理力】+〈砲術〉[武器の精度とデータ処理の低い方]*2
知覚:【直観力】+〈知覚〉[センサーとデータ処理の低い方]
隠密:【反応力】+〈忍び歩き〉[操縦値とデータ処理の低い方]

※手動制御と同じく、ヴィークルで隠密行動をとる場合、〈忍び歩き〉技能のレーティングは使用するヴィークルの〈操縦〉技能のレーティングを超えられません。

この制御方法でもヴィークルのセンサーの支援を受けた「センサー攻撃」が可能です。これについては別途まとめます。気になる方は SR5, p183 『センサー攻撃』を参照してください。

必要な機器は、コムリンク、AR/VR機材、ヴィークルといったところでしょうか。

この制御を行うために必要なマーク数は、おおむね3だと考えてください。細かいことを言うといろいろありますが、普通の道を普通に走らせる以上のことをしたければ、この程度のマーク数が必要です。

マトリックス経由での操作になることから、【ノイズ】の影響を強く受けます。詳しくは別の記事でまとめたいと思いますが、周囲のノイズが強いほど、ダイスプールに不利な修正がかかる、とだけ覚えておいていただければ良いかと思います。

自動制御

automatic control

Photo by Jason Leung on Unsplash

automatic control


自動制御では、あなたは直接ヴィークルを制御しません。あなたはヴィークルのパイロット・プログラムに命令を与えて、あとはそのパイロット・プログラムが行動します。ヴィークルがあなたの意図をどの程度うまく行動に反映できるかは、あなたの命令の仕方と、パイロットプログラムのレーティング次第です。レーティングの高いパイロット・プログラムほど賢い事になっています。当然ですが、パイロット・プログラムを持たないヴィークルに対してはこの制御はできません。

ゲームのルール上、パイロット・プログラムに命令を与える行為はマトリックス動作「メッセージを送る」として扱います。

命令:テストなし

ヴィークルは基本的にパイロット・プログラムと、ヴィークルの技能に相当するオートソフトのレーティングでテストを行います。ヴィークルが行動するのは、あなたの命令を受けた後の、パイロット・プログラムの行動手番*3になります。

操縦:【パイロット】+〔機動〕[操縦値]
武器:【パイロット】+〔照準〕[武器の精度]
知覚:【パイロット】+〔鮮明化〕[センサー]
隠密:【パイロット】+〔隠密〕[操縦値]

煩雑になるので書きませんでしたが、上記のオートソフトはいずれもヴィークルの機種あるいは搭載武器の種類ごとに固有のもので、異なる機種・武器種の間の互換性はありません。運用する際にはご注意ください(→SR5, p.274 『オートソフト』)。

さて、テストの内容を見ると分かると思いますが、遠隔制御と違い、コムリンクの【データ処理】がリミットにかかっていません。このため、ヴィークルのパイロット・プログラムとオートソフトのレーティングが十分に高い場合、遠隔制御よりも自動制御の方が有利になることもあります。

この制御方法でもヴィークルのセンサーの支援を受けた「センサー攻撃」が可能です。これについては別途まとめます。気になる方は SR5, p183 『センサー攻撃』を参照してください。

必要な機材は、コムリンクとヴィークルだけです。マトリックス動作「メッセージを送る」ができれば最低限命令を与えることはできますが、実際にはヴィークルからの映像フィードを見るためのゴーグルなどもあった方が良いでしょう。サイバーアイの映像リンクで見るってのもアリですね。

マトリックス動作「メッセージを送る」自体はマークなしでも可能ですが、パイロット・プログラムに命令を受け付けさせるには(当然)マーク3つが必要になります。

なお、この制御方法は敵からのマトリックス動作「偽命令を与える」に弱いので、注意が必要です。ハッカーからの攻撃への対抗策については、後ほど別の章で触れます。それまでは、ちょっとだけ頭の隅に置いておいてください。

まとめ

  • ヴィークルの制御方法は、手動制御、遠隔制御、自動制御、の3種類がある
  • 手動制御は自分で乗って操縦する。あなたの腕前次第。
  • 遠隔制御はマトリックス経由のリモコン。あなたの技能とコムリンクの【データ処理】が重要だけど、【ノイズ】にもご用心
  • 自動制御は命令を与えるだけのお任せ。ヴィークルの【パイロット】とオートソフトが重要。

次回予告

次回は、今回先送りにしたセンサーを介しての知覚と、センサーを用いた攻撃についてお話しようと思います。次回もまたリガーならではの項目ではないのですが、もう少しお付き合いください。

でわでわ。

 

*1:変な言いまわしですが、ご容赦ください

*2:SR5, p.183 『砲術』には、【論理力】+〈砲術〉[精度]とありますが、前述した SR5, p.240『機器を制御する』の記述から、このリミットにも【データ処理】があるのが妥当だろうと判断しました。ご承知おきください。ご指摘ありがとうございました>とかげマンさん https://twitter.com/tokage_otoko2/status/1360212126455930883/

*3:戦闘フェイズの途中からパイロット・プログラムが参加する場合の処理は、SR5, p.160 『イニシアティブの変更』の、最後のあたりを参照してください