インテリジェントデザイン
生命の起源を説明するための仮説として、インテリジェント・デザイン(ID)という説があります。これは進化論の弱点である「そんな偶然なんてねぇよ」に対する概念として出来上がったもので、端的に言ってしまうと「いのちやヒトの誕生に『知的な存在』がかかわったと考える理論」で、SF好きな方には以前からずっとお馴染みな説です。
日本でこういう説を唱えると、良くて「面白い仮説ですね」、悪くて「トンデモ」扱いされるんですが、少なくともアメリカではそうじゃないみたいです。
いま、アメリカで「科学と宗教の論争」が再燃している。ブッシュ大統領が「進化論」と「インテリジェント・デザイン(知的設計論)」の扱い方に触れたからである。「公立中・高校では両方の考え方を適切に教えて、論争の趣旨を理解できるようにする必要がある。生徒に異なる考え方を教えることは、教育の一環だと思う」と述べた。これに端を発して、教育界のみならず、各界で熱い論争が始まったのである。
この理論そのものはそれほど問題視するようなものではないと思います。私自身も進化論で説明するには苦しい個所がある(そんな偶然が本当に起こると思うか?)のは納得しているし、そこが説明できない限りは進化論も、このID仮説と同様の(と言っては言い過ぎか?)、仮説の一つに過ぎないでしょう。
ただ、アメリカでヤバイのは、IDでいう「なにものか」がすぐに「神」に結びついちゃうこと。これによって、学校で「神による世界創造」を「科学」として教えることが可能になっちゃうあたりです。
特に信心深いバイブルベルトあたりの学校だと、こういう問題は色々デリケートなものらしく、今とてもホットな話題なんだそうで。
思うんですが、「分からない」と言い切って判断を保留する勇気って必要なんじゃないかと思うんですよ。もちろん曖昧にしろと言っているのではなくて、「今のところは分かっていない」ものとして答えを留保し、現状ではそれに基づいて行動するって大事じゃないかなぁ。
例えば「不可知である」という点を逆手にとって恣意的な解釈をして、特定の方向に誘導しようとする言説としては、こういうのがあります。
- 「UFOは現代科学で説明できない。だから宇宙人がやってきているということを否定することは出来ない」
でも、これ、実は穴があります。この説に従うなら、「科学で説明できないのは宇宙人だけじゃない」ってことです。だから、UFOは宇宙人と同じ確からしさでイッタンモメンだったり、空飛ぶレイザーラモンHGだったりすることになる訳です(セイセイセイ!)。
そんなわけで。
少なくとも進化や生命発生についての私の今の認識は:
- 基本的にダーウィンの進化論に準ずるのが妥当だと思う
- ただし、それだけでは説明できない部分があることは否定しない
- だからといって、安易に「知性を持ったなにものかの介入」に縋りつくIDの態度は正しいとは思わないし、便乗していろいろ宗教がらみの胡散臭い説を唱える奴もいるので、今のところ積極的に買おうとは思わない
- そこについては、「わからない」という判断をする
なんですが。
みなさんはどうッスか? (なぜチンピラ口調?)