さり海馬

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<お詫びと訂正>:Shadowrun 5th Edition 無料プレビュー#4 公開中 - 解説1:戦闘ターンとイニシアティブ (7/23追記)

(※7/23 に「追記3:標準的な戦闘テスト」を追記しました)

まずはごめんなさい。

先ほどルールブックの実例を読み直したところ、誤読していたことが分かりました。イニシアティブに関する部分について、改めて書き直します。基本的には

  • SR5 では、SR2みたいにイニシアティブ高い人がとにかく先に何回も動き回る

と書いたのは間違いで、正しくは:

  • SR5 でも、イニシアティブ高い人がいろいろ動けるけど、とにかく先に何回も動けるわけじゃない。基本的にはSR4と同じ。でもちょっとだけ違う。

でした。では、以下、改めて解説しなおします。

戦闘ターンとイニシアティブ

(前回の記事から、内容を大きく変えています)

SR5でも、基本的なイメージはSR4と同じです。1戦闘ターンは以下のようなイメージで進みます。

  1. 全員がイニシアティブ・テストを振って、イニシアティブ・スコアを求める
  2. イニシアティブ・パス開始
    1. 全員の中で一番イニシアティブ・スコアの高い人から順に、一人ずつ行動フェイズを行い、解決する
    2. 全員が行動解決し終わるまで繰り返す
    3. 全員が現在のイニシアティブ・スコアから10を引き、新しいイニシアティブ・スコアとする
  3. イニシアティブ・パス終わり。この時点でイニシアティブ・スコアが0以下になっている人は、この戦闘ターンの行動はおしまい。
  4. イニシアティブ・スコアが0より大きい人は、2に戻って次のイニシアティブ・パスを行う。
  5. 全員のイニシアティブ・スコアが0以下になったら、戦闘ターン終わり。

したがって、イニシアティブ・スコアの高い人は結果としてイニシアティブ・パス数を多く持つことになり、行動回数が増えます。ただし、SR2のように、遅い人が行動する前に何度も行動できるわけではありません。基本的にSR4と同じと書いたのは、そういう意味です。

また、後述するとおり、割り込み動作でイニシアティブ・スコアが消費されます。このため、割り込みをすると徐々にイニシアティブ・パスが減っていきます。

イニシアティブ・テスト

(前回の記事から変更ありません)

イニシアティブ・テストに用いるイニシアティブ値は、大まかにはそのキャラクターのイニシアティブ・タイプ(今の状況から決まるイニシアティブの求め方のセット)と、そのタイプで用いられる能力値、振るダイス数によって決まります。つまり、

イニシアティブ・テスト=能力値2つの和+ダイス

で、それぞれこんな感じ

タイプ 能力値 ダイス
物理 直観力+反応力 1D6
マトリックス(AR) 直観力+反応力 1D6
リギング(AR) 直観力+反応力 1D6
アストラル 直観力×2 2D6
マトリックス(VR コールドシム) Data Processing+直観力 3D6
マトリックス(VR ホットシム) Data Processing+直観力 4D6

基本的には、物理空間で何かするなら直観力+反応力で1D6、それ以外はご覧のとおり、って感じでしょうか。ちなみにジャンプインしてのリギングはマトリックスの欄になります。

この表にある「Data Processing」という耳慣れない用語は、SR5で新たに定義されたものです。マトリックス部分の解説がまだ出てきてないので詳しいことはわかりませんが、おそらくSR4で言うプロセッサ能力値のことだと思います。日本語に当てるなら「処理速度」あたりでしょうか。

実際には、これに対して修正がかかります。サイバーウェアやバイオウェア、魔法、装備、デッキの改造などによるもので、能力値や、ダイスが増減します。

イニシアティブ・パス

(内容を前回の記事から大きく変更しています)

イニシアティブ・パスという用語の意味は、SR4からちょっとだけ変わりました。戦闘ターンを解決する際に、「みんなが一回ずつやって、行動を解決する単位」としては同じ意味です。

しかし、キャラクターの能力値としては「イニシアティブ・パス」というものは存在しなくなりました。SR5では、あるキャラクターが1戦闘ターンで何回行動できるかは、イニシアティブ・スコアを10で割った値で決まります。イニシアティブ・スコアはダイスを振って決めますから、(ある程度の範囲で推定はできるものの)確実に何回行動できるとは言い切れません。

追記:イニシアティブとエッジ

(前回の記事と同じです)

少し漏れがあったので追記しておきます。エッジを使ってイニシアティブをいじる方法について。

SR4 では、エッジ・ポイントを消費すると以下の2つのいずれかを行うことができました。

  • (イニシアティブ・スコアに関係なく)そのイニシアティブ・パスでのみ、一番最初に行動できる。
  • 追加のイニシアティブ・パスを得る

SR5では、こう変わります。

  • イニシアティブ掌握 seize initiative:イニシアティブ・スコアに関係なく、その戦闘ターンで一番最初に行動する。
  • 速攻 blitz:イニシアティブ・テストで振るダイスの数が上限の5個*1になる。

「イニシアティブ掌握」を使えば、イニシアティブ・スコアが低い人でも最初に行動できます(他に同じことを選択した人がいなければ)。この行動が解決した後は、イニシアティブ・スコアを10減らしてから、通常どおりに進行します。一番最初の行動フェイズがとにかく早くなりますが、行動フェイズの回数(=イニシアティブ・パス数)は増えません。

「速攻」はダイスをいっぱい振ります*2。イニシアティブ・スコアを上げることで、行動フェイズの回数を増やしたり、速く行動したり、を狙うときに使う選択肢ですね。

追記2:割り込み動作

(「Shadowrun 5th Edition 無料プレビュー#4 公開中 - 解説3:移動」から転記して、戦闘ターンの誤解釈部分を訂正し、多少加筆しました)

SR4での割り込み動作は、戦闘ターン内でまだ残っているイニシアティブ・パスの複雑動作を前借りして消費し、実行するものでした。このため、「あれ?俺まだ行動残ってたっけ?」「お前さっき割り込みやったじゃん」みたいな混乱を起こしやすくなっていました。

SR5では、もうちょっとすっきり解決しています。

SR5では、割り込み動作を行うと、その動作によって定まる分だけ現在のイニシアティブ・スコアがただちに減ります。そのため、プレイヤーは「今自分のイニシアティブ・スコアがいくつか」だけ知っていればいいので、管理が楽です。なお、現在のイニシアティブ・スコアが必要分だけ残っていないと、割り込み動作はできません。

割り込み動作の種類は以下の通り。内容もSR4とはかなり違っています。

割り込み動作 スコア低下 説明
素手受け block -5 素手戦闘技能分だけ防御にボーナス。近接攻撃に対してのみ有効。テストごとに1回分消費
体術回避 dodge -5 体術技能分だけ防御にボーナス。射撃・近接の両方に有効。テストごとに1回分消費
武器受け流し parry -5 近接武器技能分だけ防御にボーナス。近接攻撃に対してのみ有効。テストごとに1回分消費
全力防御 full defense -10 意志力(!!)を使った防御行動。その戦闘ターンが終わるまで、意志力分だけ防御にボーナスがつく。他の割り込み動作と組み合わせ可能(イニシアティブ・スコアが抜きんでて高い人は、最初にこれを宣言してしまうという手が使えそうな予感です。サムライのビルドで意志力を高く設定する理由にもなりそう))
移動妨害 intercept -5 近くを通過しようとする敵の移動を遮る
即伏せ hit the dirt -5 (たいていは制圧射撃に対して)テスト抜きで即座に伏せる

基本的には、攻撃に対して何か特別な反応(「特別」じゃない反応については、追記3を参照)をしようとすると、イニシアティブ・スコアを消費します。このため、イニシアティブ・スコアの高い人は、低い人よりもたくさん割り込み動作ができるようになっています。ただ、調子に乗って割り込み動作をしすぎていると、イニシアティブ・スコアが下がり、最終的にはイニシアティブ・パスが減ってしまいます。

この辺がSR4では煩雑だった「パスを消費する・借りてくる」をスマートに解決していると言える箇所でしょう。

追記3: 標準的な戦闘テスト(7/23 追記)

順番が前後してしまいましたが、標準的な戦闘テストについて説明します。SR5の戦闘テストは、攻撃側と防御側の対抗テストで解決します。

キャラク ロール 備考
攻撃側 〈攻撃技能〉+【敏捷力】[ヒット数上限*3 ヒット数の上限あり。動作を消費する
防御側 【反応力】+【直観力】 ヒット数の上限なし。動作、イニシアティブ・スコアを消費しない

実際にはそれぞれのロールにはさまざまな修正が入ります。

この対抗テストで攻撃側が勝てば命中、防御側が勝てば外れになります*4

攻撃側が出した純ヒットは、ダメージを増加させます。

SR4と違っているのは

  • 攻撃側が出せるヒット数に上限がある
  • 防御側は技能を使っていない
  • 近接戦闘も射撃戦闘も、使う技能が違うだけで基本は同じ

の3点です。

SR5では、テストの大原則として「技能を使うテストにはヒット数上限がある、能力値を2つ組み合わせて使うテストにはない」という決まりがあります。このため、技能を使っている攻撃側にはヒット数に上限があります*5

一方防御側は、技能を使いません。また、この防御は動作やイニシアティブ・スコアを消費しません。無料です。とはいえ、これは能力値だけの素の防御です。この防御だけでは間に合わないという時には、前述した割り込み動作を使って能動的な防御を行うことになりますが、そっちは有料。前述したようないろいろなドローバックが発生します。まさに"Everything has a price."ってことですね。

あと、SR5の戦闘ルールでは、近接戦闘と射撃戦闘の処理方法が統一されました。一部の割り込み動作に違いがありますが、基本的な処理は上記のやり方で統一されています。

ちなみに、SR4で最重要技能の一つであった〈回避dodge〉は、SR5でなくなってしまいました。たぶん、防御にいろいろなモードがあると判定が煩雑になるためだと思います。

*1:ちょっと気になるのがこの記述で、イニシティブで振れるダイスの数が5が上限ということになると、マトリックスVRのように、ベースのイニシティブダイス数が多い環境ではこのオプションはあまり意味がないことになります。どうなんでしょうか…

*2:まぁ、プレイヤーの運が悪いと…みたいな話はありますが

*3:武器を使うなら武器の精度Accuracy、そうでないなら身体ヒット数上限値Physical limit

*4:引き分けになると、「かすった」ことになり、毒や電撃やエッセンス吸収みたいな「接触だけでOK」な攻撃が利きます

*5:じゃあ、あえて技能を使わない方がいいこともあるのかというと、あまりそれは期待できません。何せ技能を使わないってことはデフォルティングなので、能力値1つ分のダイスしか振れませんし、その上デフォルティングのペナルティがあるので。